SNSはカネにならない、狙うは垂直モデル リクルートのネット戦略
「ネット広告ではほぼすべて成果課金に移行している」。医療業界の人材紹介で競合するレバレジーズの岩槻知秀社長は指摘する。従来の期間ごと、ページ丸ごといくらのどんぶり勘定は、もう通用しないからだ。
ISIZE失敗の教訓 ビッグデータで深掘り
だが、転んでも、タダでは起きない。失敗から何度でも学ぶのもまた、リクルートが持つDNAである。
「ユーザーを何億人も集めたところで、そんな簡単にはマネタイズ(収益化)できない」。リクルートでネット戦略を担う、池内省五取締役はそう疑問を投げかける。
世界で約9億人のユーザーを持つフェイスブックすら、上場直後の2012年4~6月期決算は最終赤字に陥った。膨大なユーザー数が収益力に結び付かない現状に市場の目は厳しい。
ネットの世界では、ユーザーのアクセス手段が次々変わるのが常だ。かつてのポータルからブログ、さらにはSNS、ツイッターへと、主役はどんどん交代する。はやり廃りは秒速スピードだ。いたずらに流行に乗っかったりせず、大きな潮流を見極める目を持たないと、持続性あるビジネスはできない。
リクルートは反省した。全方位を向く水平モデルでなく、各領域で個人と企業をマッチングする垂直モデルの追求へと、戦略を仕切り直す。峰岸真澄・新社長自身、情報誌のネット化を推進してきた人物。柏木斉・前社長の世代までと異なり、ITリテラシーは高い。