自信に満ちた人が持つ「本物の知性」の正体 「奴隷的生き方」から脱するヒント
「大人の教養」をテーマにした書籍が流行っているという。これは、人間としての土台を作りたい、自分で考えるための基礎力をつけたい、現在の世界の情勢を理解したい、と考える人が増えている証だろう。
仕事も生き方も、かつての成功体験が通用しなくなった。リーダーとして、あるいは海外と仕事の接点を持ったり、自分の職場に外国人が働いている人たちはとくに、この「自分の土台」の不確かさに不甲斐なさを感じることが多いのではないだろうか。その解決策こそが「リベラルアーツ」の修得にある。
「懐疑精神」はあるか?
「リベラルアーツ」とは、西洋における古典的教養科目を指すが、今のグローバル社会で求められているリベラルアーツはこれでは足りない。現在のグローバル社会に必要なリベラルアーツとは「健全な懐疑精神」をもって「文化のコア」をつかむことである。それがベースとなり、自分なりの世界観と人生観が出来上がる。
私は学生の時にドイツに留学したが、現地での体験は大きな衝撃であった。詳しくは後述するが、あたかも図鑑や動物園の檻ごしでしか見たことのないライオンが目の前をのしのしと歩いているような緊迫感があった。
その時「これは教科書で習ったこととは次元が違う!」と感じた。その衝撃から約40年間、私なりに日本とヨーロッパやその他の国々との文化の差の根源を探ってきた。結果的に到達したのが、世界の各文化圏の「文化のコア」をつかむ重要性であった。
「文化のコア」を知る重要性とは次のようなことだ。
われわれは日本の伝統文化がもつ価値観、倫理観、つまり「文化のコア」に則って生活をしていて、それを当たり前だと考えている。しかし、一歩世界に出てみればそこには別の「文化のコア」があるが、それは残念ながら目に見える形で明確に提示されてはいない。それゆえ、中央分離帯のない道路を走っているようなもので、いつか相手の車線に飛び込んで事故をひき起こしてしまう。
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