ゴールを決めてそれに向かって進む

 

プロゴルファー/小林浩美


 6月に開催されたある試合で、16歳のアマチュア選手がプロの試合で勝った。それも最終日に1日の日本新記録11アンダーをたたき出し、技術・体力・精神力・戦略など総合力が問われる4日間大会を制したのだ。その選手は韓国出身のキム・ヒョージュさん。すごい選手が世界にはいるものだと心底感心した。何がすごいのかというと2点あり、1点目は男性プロ並みのしっかりしたスイングの質を持っている。粘りのあるダウンスイングから、下半身がしっかりして、クラブフェース面がスクエアにスイング軌道上をきれいに走っている。ボールが狙った所に打てるスイングだ。2点目は、目標設定の高さ。自分のゴルフを一生懸命やった結果が優勝だとは本人のコメントで話していたが、自分が出したことがないスコアがどんどん出てくると、そのスコアに自分でシビレていつものスコアに収まりやすいのだが、最後までしっかりしたコースマネージメントでプレーを完結した。これは高い目標設定に裏打ちされたものだ。そのしっかりしたスイングや、すでに日本だけではなく韓国のプロの試合でも勝っているなど、何十年に一人という逸材だろう。

 

どうして16歳でこのようなすばらしいことができるのだろう。それはやはり、明確な高いゴールがあって、それに向かって相当な努力をいろんな角度からしているからだと思う。世界のトップになることをゴールに持ったゴルフを目指しているに違いない。それはたとえばスコアを作るうえでも同じことがいえる。プロの場合、練習日にコースを下見してこんなタイプのコースだと、まず全体を把握する。次にホールごとの特徴をつかむ。そして試合当日に渡されるピンの位置を見て、そこから逆算してどういうルートで攻めたらバーディーが取りやすいかが決まる。グリーンの右端のバンカー超ギリギリにピンが立っているとしたら、セカンドショットは左サイドからのほうが攻めやすい。それならティーショットはフェアウェーの左サイドに打つべきだ、となる。でもフェアウェーの左サイドが狭いとなれば、ドライバーでもそこに狙い打つ技術が必要になる。また、ピンギリギリにアイアンで打つとなれば、高弾道の球でピンポイントに打つ距離感と方向性の出せるスイングを身につけなければいけない。もし、グリーンを外して難しいバンカーに入れば、そこからピンに寄せられるバンカーショットの技も持っていなければいけない。単にバーディーを取る、という目的だけでもやるべきことはたくさんある。

毎日一生懸命やっても行き先、つまりゴールがはっきり見えなければ、その場その場でただ頑張ることになり、どこにどれくらい進んでいるのか自分でも見えないし、ぐるぐる回っているだけかもしれない。なりたい自分、あるいは出したい結果をまず決め、ゴールを明確にして、そこから逆算して前に進むことがとても大事だと思う。

 

プロゴルファー/小林浩美(こばやし・ひろみ)
1963年福島県生まれ。89年にプロ初優勝と年間6勝を挙げ、90年から米ツアーに参戦、4勝を挙げる。欧州ツアー1勝を含め通算15勝。現在、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)会長。所属/日立グループ。

 

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