迷ったら基本・アドレスに戻ろう!

プロゴルファー/小林浩美

 夕方、ベランダの物干し竿にかけてある南部鉄製のかわいい風鈴がリンリン鳴るのは風情があります。これにスイカと蚊取り線香の煙があれば、夕涼みですね。

さて、ある郵便局の1日局長を拝命したおり、「ゴルフと郵便で共通するのは、アドレスが大事」、ということをお話ししました。アドレスがしっかりしていないと、郵便物もボールもどこに行ってよいのか迷ってしまいます。ハガキや手紙の郵便番号はいまや7桁。以前の3桁に比べると、細かく区分され地域ごとに振り分けられています。ある意味、ピンポイントで郵便物が配達されているわけです。

ゴルフもピンポイントで攻めるには、きちっとしたアドレスが最重要。かのジャック・ニクラウス選手も、アドレスでショットの70%は決まると言っております。どういう手順でアドレスをとるのかというと、(1)ボールの後方に立って、どこに打ちたいのか方向を決める。(2)方向(飛行線)が決まったら、その打ち出したい線に対しクラブフェースを直角に添える。(3)ボールの位置は打ちたい球筋や高さによって、スタンスの中央寄りに置くのか左足寄りに置くのか、イメージに合わせて決める。(4)それからその方向に対して足のスタンスを平行にとり、(5)同時に体の線、つまり肩、胸、腰、ひざの線も平行にセットする。(6)最終チェックでアドレスをとったまま目標線方向を確認し、(7)微調整をして、初めてスイングを開始します。

私たちプロは、ボールを打つまでに、毎回この手順通りにアドレスをとります。多くの試合でツアーキャディが選手の後ろから毎回スタンスの向きをチェックするのは、自分で思った方向に構えたつもりでも、ちょっとした加減で正しくセットできないことがあるからです。もし、間違ったアドレスのままスイングすれば、ボールは思うようには飛んでくれず、優勝を争っているシビアな戦いのときには、ちょっとした精度の狂いがパットの長さに影響し、スコアに直結してしまうのです。

ボールは正直なので、打ったようにしか飛びません。アドレスの向きの違いやボールの置き場所のちょっとしたズレでミスショットを誘発しているのに、自分のスイングのどこかが悪いに違いないと勘違いし、各部の細かい動きを直して、悪循環の深みにはまるアマチュアの方を多く見かけます。大ざっぱなアドレスからは、リピート率の高いよいショットは生まれにくいし、芯をとらえたよいショットも生まれにくいのです。

アドレスは、郵便物にとってもボールにとっても行き先を決める大事な要素。きれいな字で正しく宛先が書いてあれば、迷わず目的地に着けるのと同様に、ゴルフもきちんと目標を定め、正しく構えて、迷わずスイングすれば、ボールはその通りに飛んでいってくれます。迷ったら基本に立ち返りましょう。

プロゴルファー/小林浩美(こばやし・ひろみ)
1963年福島県生まれ。89年にプロ初優勝と年間6勝を挙げ、90年から米ツアーに参戦、4勝を挙げる。欧州ツアー1勝を含め通算15勝。現在、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)理事。TV解説やコースセッティングなど、幅広く活躍中。所属/日立グループ。
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