ゴルフ場は誰のもの? メンバーシップのゴルフ場も、客を集めるためにはなりふり構わず、優待券を発行している。コースは荒れるし、見知らぬ人は増えて、以前のよさが薄れてしまった。
確かに、コースの維持運営には金がかかる。今年のように暑い夏はグリーンの傷みが激しく、芝の養生だけでも出費はかさむだろう。真夏の平日で、客が1組でもレストランを営業し、風呂を沸かさなければならない。本当にゴルフはぜいたくな遊びである。ただ、高い会員権を買った人は、そのぜいたくを買ったのではなかったか。土、日は会員同伴、平日も紹介なしでは無理、といった文言を信じて、高いローンを組んだ人も、自分たちが優先プレイ権を有することが一つの条件だったはずだ。
栃木県のあるコースは、以前泊まりがけでプレイをし、一目ぼれしたゴルフ場である。同じ敷地内のホテルも大変豪華で、環境もよく、コースもすばらしい。私は妻と2人でメンバーになったのだが、ご多分に漏れず、経営の破綻。数百人の会員数が、気がつけば数千人の大乱発で、昔のよき友は誰もいなくなった。紳士のスポーツとは名ばかりで、経営者はやりたい放題、メンバーの気持ちを真剣に考えたことはあるのだろうか。千葉のブリック&ウッドは私のホームコースだが、ここは会員の意思で年会費が3種類の中から選べる。会員には売り上げノルマがあり、目標値の高いレベルは逆にプレイ費が安い。この方式は当初、反対の声もあったようだが、今ではすっかり定着した。皆、おのおのが自分のスタイルに合ったクラスを選択し楽しんでいる。来季はプレイ費の値上げが決まったようだが、コースを守り、クラブライフを維持するにはそれもやむをえない。株式を持つタイプのメンバーシップだからこそ、一人ひとりの意識が高いのだろう。茨城のコースで、年会費が100万円というのもある。ここはかなりの入場制限を設けているが、コースメンテナンスが優れており、日曜日も20組入れば混雑、というくらいで、いつでも余裕のプレイが楽しめる。前の組に待たされることもなく、メンバーは予約なしでプレイができる。真にゴルファーには理想のゴルフ場だが、入会の条件は厳しいらしい。
要は、ゴルフ場の大半は、カントリークラブだ。クラブ組織である以上、個性があるのは当然で、理想のクラブライフを経営者とメンバーで作っていけばいい。不幸なことに、日本のゴルフ場は投資の対象となって、本来の意義が失われてしまった。ゴルファーの数を考えれば、いかに数が多過ぎることか。バブルが弾けてゴルフを始めた私でさえ、民事再生で紙切れになってしまった会員権を持っている。年会費は納めていても、まったく行かないゴルフ場もある。私も含めて、日本のゴルファーは実におとなしい。怒りを覚えないのは紳士のスポーツだからかな。
1947年年秋田県生まれ。東京12チャンネル(現テレビ東京)アナウンサー出身。76年フリーに。現在は『とくダネ!』(フジテレビ系)や『嵐の宿題くん』(NTV系)、『小倉智昭のラジオサーキット』(ニッポン放送)の司会を務めるなど、幅広く活躍中。
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