「自宅が登録有形文化財」築150年の旧家に住む夫妻、13代目が守る"誇り"と"維持"のリアル 群馬県太田市・片山家住宅

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英彌「きちんとした方からの紹介や、役所や大学などの公的機関を通して申し込みがあれば、公開することもいとわないんですが、通りすがりにふらっと入ってくる人には気をつけています。バブル期には蔵を泥棒に荒らされたことがあり、最近は凶悪な犯罪も報道されているので」

堂々とした構えの長屋門だけで33坪と大規模。庭木の手入れや広い敷地の固定資産税もバカにならない(写真撮影/相馬ミナ)

地域に公開。顔なじみのご近所さんが初めて家に入る

とはいえ、パンデミックが起きる前には、英彌さんは地域の人々に住宅内部まで公開する見学会を催したそう。

英彌「地域の方々は、うちの存在はよく知っていても、中にまで入ったことはないという人がたくさんいて。当日は年配の顔見知りの方たちが、土間がいっぱいになるくらい集まってくれて、『この街にお嫁に来て初めて中に入った。こんな風になっているんだ』と喜んでくれました。

大きな門があったり、周りはしっかり垣根で囲われていたり、変に構えたつくりだから、そういう機会も必要なんだなと思いました。家族と相談の上ですが、今後も定期的に開催して、古い建物の良さや雰囲気を味わってもらうのも、何か意味がありそうな気がしますね」

この10月には、英彌さんが理事をしている近隣の障害者施設の利用者を庭に招待し、ハーモニカコンサートを開催。今年で3回目となり、毎回50~60人の利用者が集まるそうです。その施設の利用者には、裏庭を散策路として開放もしているそうです。

敷地内の2つの蔵も登録有形文化財で、大きいほうは物置に、小さいほうを趣味の離れとして利用している(写真撮影/相馬ミナ)
電気の配線をし直し、オーディオルームとしてしつらえた蔵の2階。蔵には囲炉裏もなく光も入らないので木材が黒くなることもなく築150年とは思えないきれいさ(写真撮影/相馬ミナ)
ハーモニカコンサート開催時の様子(写真提供/片山さん)

「この家は自分のものというより、もっと多くの人のものという感覚でしょうか」と英彌さん。

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