「自宅が登録有形文化財」築150年の旧家に住む夫妻、13代目が守る"誇り"と"維持"のリアル 群馬県太田市・片山家住宅

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「それまでは制度についてまったく知らなかったので、人に恵まれましたね。設計士の調査を経て、群馬県文化財保護審議会委員の方に所見をいただき、それを申請書に添付しました。2003年11月に新田町(現・太田市)教育委員会から文化庁へ答申され、翌2004年に正式に登録となりました」

登録後、調査を行った設計士の設計監理で、キッチンや浴室、寝室などの生活に直結する部屋を中心に、北側の下屋根部分を基礎より大規模修繕を行うことに。

英彌「古いものの価値に関心がない人に任せてしまうと、台無しになりかねません。その点、彼は知識や経験が豊富でセンスもよく、そのまま残す部分と思い切って刷新する部分のバランスを取ってくれ、文化財として残すべき価値や特徴と暮らしやすさの両立がかないました」

裏庭の紅葉を眺めながら食事をしたいと、ダイニングのサッシを断熱性のある大きな木製窓に付け替えた(写真撮影/相馬ミナ)
ダイニングの古い水屋はそのまま使用。代々の食器がぎっしり収められている(写真撮影/相馬ミナ)
妻の美枝子さんお気に入りの江戸時代の平皿(写真撮影/相馬ミナ)

終わることのない修繕の苦労と金銭的な負担

もはや住宅のスケールを超えた「施設」レベルの規模の建物群、そして広大な敷地内の環境を保っていくためには、苦労が尽きないと英彌さん。

まとまった規模の修繕以外にも、常になにかしらの修繕の必要に迫られます。特に2011年に起きた東日本大震災では、主屋の大屋根の上にある越屋根(こしやね)がずれ、井戸屋の柱が2本折れて倒壊するなどの被害を被り、思わぬ出費を迫られました。

井戸自体は現在まったく使用していないが、井戸屋が文化財の一部として登録されており、維持管理を続けている(写真撮影/相馬ミナ)
思いや当時のことを丁寧に説明する英彌さん(写真撮影/相馬ミナ)
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