「自宅が登録有形文化財」築150年の旧家に住む夫妻、13代目が守る"誇り"と"維持"のリアル 群馬県太田市・片山家住宅
英彌「これらの建物は明治6(1873)年ごろの建築ですが、その前に立っていた屋敷は、明治維新の動乱期に農民一揆で打ち壊し(家屋や家財を破壊・略奪する暴動)に遭ったそうです。その後、徐々に再建が進み、現在の形ができ上がったのは大体明治20(1887)年ぐらい。蔵の鍵につけられている木札には、明治18年(1885)と書かれています」
当時の主要産業であった養蚕を営む大地主の家として、この一帯の暮らしと産業を支えてきた片山家。明治13年に周辺4村が連合した際は、当時の当主であった與一郎(よいちろう)氏が戸長に選ばれ、地域の行政機能を担った歴史もあります。
人との出会いから登録有形文化財登録・大規模修繕へ
片山家住宅が有形文化財として登録されたのは、平成16(2004)年3月のこと。そのきっかけとなったのは、ある建築士との出会いでした。
英彌「父の代から私の代になり、それまでもちょこちょこ修繕はしていたのですが、全体的に傷みが激しくなってきていました。
これからどうやって維持していこうかと思いあぐねていると、2002年に町や県の文化財課による訪問があり、翌2003年に町からの依頼を受けて調査を行った設計士が『この家は価値のあるものだから、大事にしたほうがいい』と、登録文化財の制度について詳しくアドバイスをくださったんです。
そのことで私自身もこの家の価値を再認識でき、登録を行ってその価値を社会的なものにしようと考えました。さらに、文化財としてふさわしい修繕・修復を行うことにしたのです」

















