愛や恋は「死ぬまで、消えないんじゃないかしら」…【88歳の女性作家】が綴る驚くべき"愛のカタチ"

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わたしは10代のときに誰かに夢中になった経験がありません。でも人生の旅路をたどってきた今、官能と情熱を伴った恋愛を経験する回数が、年を取るにつれて増えていることに気づきます。年を重ねるほど、いっそう深く人を愛するようになっています。しかも独占欲はありません。不思議でしょう?

こんな話を聞いたことがあります。

96歳の男性が、同じ介護施設にいた91歳の女性に恋をしました。そしてこの女性も、男性を愛するようになりました。ところがある日、女性はニュージャージーに住む娘に引き取られることになったのです。女性が相手の男性を愛していることなどお構いなしにです。抵抗する間もなく、力ずくで連れていかれました。

男性の心は張り裂けた、なんてありきたりの言葉では足りません。男性はまさに荒れ狂うような悲しみに襲われたのです。女性が自分を捨てて別の男のもとへ去ったのだと、信じて疑わなかったのです。

90代の友人が持ち続けていた「性的な欲望」

では、晩年の恋愛について、わたしは何が語れるでしょう? 愛の崇高な姿を前にすると、言葉を失ってしまいます。愛は年齢にかかわらず、絶えず芽吹きます。雨に打たれた砂漠に生える雑草のようです。

恋を司るギリシア神話の神エロースの放つ矢は、予期せぬ形で人を撃ち抜き、歓びと創造の衝動で常に人の胸を躍らせるのです。それは、逃れようのない、切実で痛みを伴う不安、焦がれる想い、心細い気持ち、涙と苦しみの果てに、解放をもたらすのです。

50代の頃のことです。大切な友人ドロシー・クラークに質問したことがあります。当時ドロシーは90代でした。今でも性的な欲望はあるのかと訊いたのです。

「ええ、あるわよ」。それが答えでした。「この前の夜なんて、本当に美しい夢を見たんだから……」。そのときドロシーの目は輝き、表情も華やいで見えました。

「死ぬまで、消えないんじゃないかしら」

それは、劇作家ジョージ・バーナード・ショーが書いた「生命力」そのものです。

ダライ・ラマにインタビューしたときには、こう尋ねてみました。「幼い頃にその地位に選ばれて、悲しいと感じたことはありますか?」。

「いいえ」と返されました。

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