愛や恋は「死ぬまで、消えないんじゃないかしら」…【88歳の女性作家】が綴る驚くべき"愛のカタチ"
でもどんな贈り物よりも素晴らしいのは、恋愛という名の不思議なのです。
59歳のあなたは、自分は何者なのかと考えることがありませんか? わたしはあります。年を重ねた今のわたしは、昔のわたしとは違うのでしょうか?
今でもわたしは、わたし。相変わらず欠点もあれば、しくじることもあります。考え方も、昔とさほど変わりません。特別賢くなったわけでも、鈍くなったわけでもありません。
ただ、頭の回転も足どりも、今では少しゆっくり気味です。時折、人の名前や単語がふっとどこかへ行ってしまいます。けれども不思議なもので、やがてジャジャーン! と得意げなファンファーレを鳴らして戻ってくるのです。
それでも50代から数えて30年経つと、物事を手放すのはいくらか楽になりますよ。人も物も、自分の思いどおりにはならないと学びました。
以前よりも静かで、深くて、そして力強い「愛」
政治家だって思いどおりになりませんし、今朝バッテリーが上がった車もそう。勝手に動き出すプリンターもそうです。だから若い頃にはなかった、ある種の心の平穏を今は感じています。昔のように、気分が激しく揺れ動くことも減りました。
イスラーム神秘主義スーフィーにはこういう寓話があります。修行僧たちが宗教儀式でくるくると回転しながら踊っているすぐそばで、ペルシャの賢者が静かに瞑想しています。賢者の弟子が尋ねます。
「ここはこんなにうるさいし、人がバタバタと動いているのに、気にならないんですか?」。賢者は答えます。
「ただ、踊らせておけばいい」
さらにこんな問いかけが重要なのかもしれません。85歳の恋愛は、20代や30代、50代や60代の恋愛とは違うのでしょうか?
今のわたしの愛は以前よりも静かで、深くて、そして力強いものだと言えるかもしれません。それは、陽光にきらめく波間に揺れる海面ではなく、太平洋の海溝のように深くて仄暗い海底のような愛です。
でも、本当にそうでしょうか? ひとつおもしろい事実があります。わたしが生まれて初めて人を愛したのは、20代になってからのことです。その相手こそが、夫となったデイビッドです。


















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