冬が旬。老化を緩やかに「腎」を補い「胃腸」を養う山芋の力をあますところなくいただこう――薬剤師が解説する"凄い効果"と"食べ方のコツ"

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代表的な漢方処方としては、八味地黄丸(はちみじおうがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、六味地黄丸(ろくみじおうがん)、参苓白朮散(じんれいびゃくじゅつさん)、薯蕷丸(しょよがん)などが挙げられます。

腎を補う作用

山薬はまた、単独でも胃腸や肺、腎の気陰(生命エネルギーが不足した状態)を補う作用が大きい生薬です。

一般的に、腎を補う生薬は胃腸に負担をかけるものが多いのですが、山薬は逆で、胃腸の働きを改善してくれます。体を温めも冷やしもしない「平性」の性質なので、暑がりの人にも寒がりの人にも使いやすいです。

山薬には大小便やおりもの、精液などが出るべきではないときに漏れ出てしまうのを防ぐ働きがあります。それにより、これらが漏れ出たことによって失われた気や体液を補ってくれるのです。

老若男女問わず元気をもたらす

精といえば、日本では、滋養強壮となる食品を食べることを「精をつける」と表現しますが、まさに山薬には精を充実させる作用があります。

一般的に、精、あるいは精力から“男性の生殖能力”のようなイメージを持つ人もいると思いますが、精とは本来、あらゆる生命エネルギーと関係しています。そのため、山薬は老若男女問わず、下痢、頻尿、糖尿病などのトラブル、不妊症、アンチエイジングなどに用いられます。

これだけの作用があって、日本全国どこでも手軽に手に入る食材はなかなかありません。

食べる際の注意点

山芋は基本的に食材なので、普通の食事でいただくぶんには、大きな問題にはならないと思います。

生で食べることが多いですが、元気がないときは胃腸の力は弱っているので、精をつけようと山芋を食べすぎると、かえって具合が悪くなることもあります。

食欲が落ちている、下痢している、胃腸が弱っている人は、生食は控えましょう。蒸す、焼く、煮るなど、火を通して温かい状態で食べることをおすすめします。

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