山芋は、どれも生薬の「山薬(さんやく)」として使用されています。
主に使われている品種は長芋ですが、日本原産のヤマノイモも生薬としての効能は同じとされています。和名のヤマノイモは、古い時代に渡来した里芋に対して付けられたものといわれています。
長芋、大和芋は栽培種である一方、自然薯は自然に生えており、薯蕷(しょよ)ともいいます。日本の野山に自生し、長芋よりも細く長く成長し、粘りが強くて味が濃いのが特徴です。最近では栽培するようにもなっていますが、天然のものは流通量が非常に少なく、高価で貴重な食材です。
ここからは「山芋」として紹介させていただきます。
たくさんの薬効を持つ山芋
「薬食同源」という言葉がありますが、昔は薬と食の厳密な区別はありませんでした。そんななか、食としてもおいしく、薬としても効果が高い存在として親しまれてきたのが、山芋でした。
利尿作用があり、体内の余分な水分を除いて胃腸を健やかにします。胃腸が弱くて食欲不振や下痢のときは、山芋を加えた粥を作り、最後に卵の黄身を1個加えてまぜる山薬粥がおすすめです。
肺に潤いを与える働きもあって、慢性的な咳や空咳などを抑えるために使われることもありました。くず湯にすりおろした山芋と黒砂糖を少し加えて飲みます(関連記事:生命エネルギーの元「肺」の働きを高める"生活術")。
また、腎を強くする作用も兼ね備えているため、老化を緩やかにし、滋養強壮に働き、生殖機能を健やかに保ちます。さらに最近では、ネバネバ成分に血糖値の急な上昇を抑える効果や、コレステロールを下げる作用などが報告されています。
生薬として、山芋は山薬、または薯蕷という名前で、漢方薬に配合されています。



















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