大河「べらぼう」で注目の十返舎一九、下ネタ満載の大ヒット作『東海道中膝栗毛』 児童書では描かれない「弥次さんと喜多さん」の素顔

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享和2(1802)年に初編を出した『東海道中膝栗毛』である。その反響の大きさから以後、実に20年にわたって、『東海道中膝栗毛』は12編もの続編が刊行されることになる。

児童書では描かれない「弥次さんと喜多さん」の素顔

後世でも広くその作品名が知れ渡った『東海道中膝栗毛』だが「子どもの頃に読んだなあ」と思い、懐かしく再読してみると、「こんな場面あったっけ?」と驚くかもしれない。児童用の現代語訳ではカットされたり改変されたりしているが、原作では宿場女郎と遊ぶ弥次さんと喜多さんの姿が多く描かれている。

例えば、弥次さんと喜多さんの2人組は東海道を進む途中で、十吉という男と知り合い、3人で三島の宿へ。飯盛女のおたけとおつるを酒の席に呼んで盛り上がると、十吉は隣の部屋に移り、弥次さんと喜多さんはそれぞれの女性と一緒の布団に入っている。すると、旅の途中で買ったスッポンが藁包から抜け出して大騒ぎに。そんな混乱の隙に十吉は盗みを働くというドタバタ劇が繰り広げられている。

また江尻を過ぎて府中に着くと、旧知の家を訪ねて費用を工面してまで、弥次さんと喜多さんは遊郭へ。遊女屋の2階で二人ともそれぞれの相手と一晩を過ごす。

日坂宿の旅籠に宿泊したときには、喜多さんは若い巫女に夜這いをかけるも、同じことを考えていた弥次さんと暗闇のなかで口づけをしてしまうなど、ハチャメチャな展開となっている。

挙げればほかにもいろいろとあるが、道中立ち寄る店で女の容姿をあれこれ評論しては、宿の女に手を出そうとするのが、お決まりのパターンだ。

それでいて、道中に登場する場所や店は実在するもの。十返舎一九による取材旅行に基づいており、旅行ガイド本としても楽しめるというわけだ。

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