【医師が解説】男性だけじゃない女性も注意!脳や心臓にダメージ、寿命を縮める…「いびき」が招く深刻問題〈危険ないびきチェック〉で確認を
無呼吸がどれだけ怖いのか、しっかり理解することが大事です。
■窒息状態が脳をむしばむ
まず、呼吸が止まるたびに血液中の酸素濃度が急降下します。ひどい無呼吸だと1分以上続くこともあり、酸素飽和度は70%以下まで低下します。酸素飽和度は血液中の酸素濃度を見るもので、コロナのときに「93%以下は中等症」とされた、アレです。
ちなみに、救急外来で酸素吸入が必要になる酸素飽和度90%ですから、無呼吸時に起こる70%というのは、それよりはるかに酸素が足りていない状況。もはや“窒息レベル”です。
このとき体にはどんなことが起こるかというと、「生命の危機」と判断して交感神経をフル稼働させ、血圧と心拍数を急上昇させます。その結果、血圧は200mmHg以上、心拍数は100回/分以上(睡眠時は50回/分程度)にもなります。
心臓や脳に大きな負担がかかるのも無理はありません。
事実、この「夜間の窒息状態」はじわじわと脳を傷つけていきます。
最新の研究では、睡眠時無呼吸がある人は将来、認知症になるリスクが普通の人より約1.5~2倍高いことが報告されています。脳内では、酸素不足によって炎症や神経の変性が進み、アルツハイマー型認知症の原因とされるタンパク質「アミロイドβ」の蓄積が促進されるのです。
目覚めた瞬間に「頭がボーッとする」「朝から集中できない」「最近、もの忘れが増えた」といった症状は、脳が寝るたびにダメージを受けているサインかもしれません。
酸素不足で血糖値が急上昇する
無呼吸による窒息状態は、血糖値にも悪い影響を与えます。
酸素が足りなくなると体はストレスを感じ、副腎という部分からアドレナリンやストレスホルモンといわれるコルチゾールを大量に分泌。そのため血糖値が急激に上昇し、「血糖値スパイク」を起こします。
さらに無呼吸によって睡眠時間は足りているのにもかかわらず熟睡している時間が減るので、慢性的な睡眠不足が生じます。それにより、食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌が減り、食欲を刺激するホルモンであるグレリンの分泌が増えます。


















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