仲間意識の強い共同体だった昭和の日本企業では、危険な「サイコパス社員」が暗躍できなかった納得の理由

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サイコパスの特徴を知っておくことは大切だと思います。採用の際に見抜けるほうがよいでしょう。面接ウケが非常に良くて、中途採用には常に受かるのに、数か月で化けの皮がはがれ、仕事ができず、ウソつきだったとバレて転職していくという話も聞きます。

かつては学歴を基準にしていましたが、今は総合的な人間力を見なければならないと言われています。ただ、面接で見ているのは、コミュニケーション能力。サイコパスは、その能力が高いわけです。

人事担当者が面接だけでサイコパス的な本質を見抜くことは相当難しい。本書にも、ケーススタディとして、法律事務所に入り込んだサイコパスの女性が登場しますが、絶対にわかりませんよね。

やはり、試用期間中にその人がどういう行動をして、どういう人間関係を作っているのかをきちんと見るということが、企業に求められるのではないでしょうか。

サイコパスはコンプライアンスを利用する

サイコパスは、目の前の損得しか考えておらず、基本的に社会のルールに従う感覚がありません。その点で、社内でハラスメントを起こすということはあるでしょう。

ただ、今のようにコンプライアンスに敏感な社会では、「ハラスメントを受けました」とウソの告発をするサイコパスのような人も少なくないのではないでしょうか。

つまり、コンプライアンスを無視するか、コンプライアンスを自分のために利用するかしか考えない。本書にも、人を貶めるためならなんでもするという特徴が描かれています。

サイコパスが社内に混じり込んだ時点で、その人に従わせることは無理ということですから、訴えられている側だけでなく、訴えている側も、どんな人間なのかをきちんと見極めた上で判断するという一歩踏み込んだ対処が必要になるでしょう。

(構成:泉美木蘭)

佐々木 俊尚 作家・ジャーナリスト

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ささき・としなお / Toshinao Sasaki

1961年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。毎日新聞記者、『月刊アスキー』編集部を経て、2003年よりフリージャーナリストとして活躍。ITから政治、経済、社会まで、幅広い分野で発言を続ける。最近は、東京、軽井沢、福井の3拠点で、ミニマリストとしての暮らしを実践。『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『そして、暮らしは共同体になる。』(アノニマ・スタジオ)、『時間とテクノロジー』(光文社)など著書多数。

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