仲間意識の強い共同体だった昭和の日本企業では、危険な「サイコパス社員」が暗躍できなかった納得の理由

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特に就職氷河期世代は、非正規で働くなどしてきて「会社に頼って生きていてはダメだ」という感覚が強くなっています。

そうして、堀江貴文さんを目指したり、有名ブロガーやユーチューバーに憧れたりする。

「ジャングルの中で生き抜け」というような感覚がもてはやされてくると、サイコパスにとっては、ますます大手を振って過ごせるような社会状況になるでしょう。

ただ、そうは言っても、日本はやはり共同体の強い社会です。アニメや映画の世界を眺めるとよくわかります。

ハリウッドは「スーパーマン」など1人の英雄が活躍しますが、日本は「ワンピース」「進撃の巨人」「シン・ゴジラ」など、チームや仲間で何かを成し遂げるという話が多いですよね。

注目を集める日本の「平等な仲間意識」

日本人は秩序を重んじるところもあります。

2024年に世田谷区の公立小学校を舞台にしたドキュメンタリー映画「小学校~それは小さな社会~」(山崎エマ監督、日本・アメリカ・フィンランド・フランス合作)が公開され、ヨーロッパで大ヒットしました。

子どもたちが教室を掃除したり、給食を配膳したりするという日本人にとっては普通の風景ですが、個人主義の欧米文化ではそんなことはやりません。「掃除なんて清掃人のやることだ」と考えるからです。

日本文化には、ある種の平等な仲間意識が大切にされていて、用務員さんに対してもリスペクトする気持ちがあります。

このような、共同体を大切にしようという日本の伝統的な意識が、欧米のリベラリズムが解体していく中で、逆に浮上していくという流れもあるのではないかと僕は考えています。

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