前半でも少しお話ししましたが、コストコがアメリカでやっているような、利益率を抑えて、従業員を大切にする経営方針は、まさに昭和期の日本の会社のやり方そのものです(前編を参照)。
世界的にも、そのような方向へ回帰していくのではないでしょうか。
本書に、アメリカのアイスホッケーチームの話が登場します。バスケットボールでは、スター選手を集めてドリームチームを作ったのに、それぞれが自分のためにプレーしてしまい、勝てなかった。
ところが、無名の選手を集めたアイスホッケーのチームでは、個人の栄光よりもチームのために一丸となって戦って、強豪を破り優勝したというものです。まさに日本のチーム意識に共通する話でしょう。
つい最近まで、それは「同調圧力が強い」「個人の自由がない」など批判的に言われていましたが、気づけば世界中が、そのほうがいいと感じるようになっている。
日本においては、サイコパスが牛耳る社会ではなく、チーム力を高めて、みんなで頑張るという方向に進むことができるのではないでしょうか。
「目立たない功績」に光を当てる重要性
会社内には、何もしていないように見えて、実はチームの雰囲気を良くしている人の功績というものがあります。
成績の高い営業チームを分析したところ、目立たない中年の女性社員が人間的なハブとなって、たびたび顔を合わせて話しており、それがチーム力の根源となっていたという研究もあります。
そういう人の存在を可視化することも重要ではないでしょうか。逆に言えば、サイコパスが跋扈する社会は、そういう存在が全く見えなくなっていく社会だとも言えます。
管理職には、そのための役割、隅々にまで人間関係に気を配ることも求められています。「20人に1人はサイコパスがいる」と自覚することで、そうではない人々に光を当てるという力学も生まれるでしょう。



















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