刑務所の囚人たちをMRIスキャンしてわかった「サイコパス」がためらいなくウソをつく理由

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刑務所の廊下を歩くオレンジ色の服を着た囚人
サイコパスの人は、普通の人よりも、咄嗟に、躊躇なくウソをつくことが、MRIで囚人の脳を調べた研究でわかりました(写真:Gilmanshin/PIXTA)
20人に1人の割合で存在すると言われるサイコパス。彼らはあなたを破滅に追いやり、職場を生き地獄に変える。サイコパスはこの世界をどのように見ており、あなたを含めた他人についてどのように考えているのだろうか?
『サイコパスから見た世界:「共感能力が欠落した人」がこうして職場を地獄にする』の日本語版が2025年8月に刊行されたが、今回、京都大学人と社会の未来研究院教授で認知神経科学が専門の阿部修士氏に、サイコパスの脳について話を聞いた。2回にわたってお届けする。

「ウソをついたときの脳」をMRIで調べる

サイコパスから見た世界: 「共感能力が欠落した人」がこうして職場を地獄にする
『サイコパスから見た世界』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

私は、人間のウソ、不正直さ、不正行為についての研究をしています。

MRI(磁気共鳴画像法)で脳の撮像を行い、活動を画像化して、不正をしている時、あるいは不正を抑制して正しくふるまっている時に、脳がどんなふうに働いているのか、どの程度の個人差があるのかなどを測定することもあります。

脳波を測定する研究などもありますが、現在は、人間を対象とした脳機能の研究においては、MRIを使った研究が主流です。

ものを思い出すときにどこが働くのか、言語を理解するときにどことどこの領域が協調して活動しているのか、お年寄りやお子さんではどう違いがあるかなども研究できるようになっています。

研究員として渡米していた頃、囚人を対象としたサイコパス研究で著名なケント・キール氏との共同研究を行いました。サイコパスは、嘘の研究をしている人間からすると、とても興味深い対象なのです。

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