フレンチの巨匠・三國シェフ「最初で最後」の家庭料理本に込めた食の哲学。インタビューで語った飽くなき探究心と家庭料理レシピに挑戦した理由
日本のフランス料理界を代表する1人、三國清三氏が今年9月にレシピ本『ザ・シェフ三國の究極家庭おかず』を刊行。発売から1カ月で5刷、3万2000部を超える人気となっている。
衣が3色のカラフルなてんぷら、バナナやリンゴジュースを入れたポークカレー、ガレットに見立てたお好み焼きなど、さりげなくフランス料理の要素も入っている。
「最初で最後」とうたうレシピ本には、三國氏の料理人としての人生と哲学が詰まっているようだ。東京都内で、三國氏に料理の腕を上げるコツとは何か、話を聞いた。
塩が「うまみ」を引き出す
三國氏は同書の中で「ミクニ流家庭料理の極意」や料理の基本プロセスを伝えている。そのひとつが塩加減。さらに、料理をよりおいしくするポイントとして、食材に含まれる水分量のコントロールが大事だというのだ。
「素材に塩を振っておけば、溶けて浸透します。野菜なら塩が浸透する一方で、水分を押し出します。肉や魚だと塩が浸透することで、うまみが表面に出てくる。うまみが出たところで、焼くとおいしい」
三國氏は具体的にイメージできるよう、長年現場を付き合ってきた生産者の話を引き合いに出す。「奇跡のリンゴ」で知られ、自然栽培を行うリンゴ農家、木村秋則氏との交流から得た経験談だという。


















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