「一流の料理人」の条件は?「伝説の農家」語る裏側 「食べる苔」「蟻のトッピング」…一体何が違う?
野草も山菜もアリの「奥田イタリアン」
「ぼくが自分で採ってきた野草と、山形の地場野菜が入っています」
奥田政行シェフは、浅野悦男のテーブルに、「野草と野菜のペペロンチーノ」を置いた。
パスタの上に、メナモミ、野蒜、ヤマトトウキといった野草や、在来種の野菜が盛り付けられ、山形産の食用菊「もってのほか」が彩りを添えている。庄内平野の自然をそのまま表現したかのような一品だ。
奥田氏がオーナーシェフを務める山形県鶴岡市の「アル・ケッチァーノ」は、2000年の開店当初から、地元でとれる食材をふんだんに使った料理が人気を博し、全国から客が集まる。
いわゆる「デスティネーションレストラン」(そこへ食べに行くためだけでも訪れる価値のあるレストラン)の元祖ともいえる。
奥田氏は、ソースなどの調味料をほとんど使わず、近くでとれる食材同士を組み合わせることで素材本来の旨みを引き出すのが得意だ。
「調味料というのは、味を調整するものでしょう? 完璧な野菜をそろえて、組み合わせさえ間違えなければ、調整しなくてもおいしい料理ができるはずなんです。そういう考えのレストランが、世界に一店ぐらいあってもいいかなと」
2023年にフランスのレストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」の「テロワール賞」、第14回農林水産省「料理マスターズ」ゴールド賞を受賞し、国内外での評価をさらに高めている奥田氏。
野菜も、野草も、山菜も、食材として同列にとらえ、最適かつ自由な発想で庄内のテロワールを表現する。その考え方の基本に、浅野の影響があるという。
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