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「一流の料理人」の条件は?「伝説の農家」語る裏側 「食べる苔」「蟻のトッピング」…一体何が違う?

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浅野の畑には、食材の提供だけでなく、「新しい発見」を求めてやってくるシェフもいる。

「世界一予約が取れないレストラン」と言われる「noma」(コペンハーゲン)のレネ・レゼピシェフもその一人だ。

「食べる苔」「蟻のトッピング」の衝撃

2015年、「noma」が東京でポップアップレストランを展開した際にレゼピ氏は浅野の農場に姿を現した。

日本中を回り、日本人も知らないような食文化まで深く掘り下げていたレゼピ氏は、畑を一緒に歩きながら、浅野にヒントを求めてきた。

「どこかに、食べられる苔はないですか」

気候条件や植生、水質などを考え、浅野はめぼしい条件の土地をいくつか候補として挙げた。

カツオの藁焼きを一緒に食べながら、自身の料理への思いを語ったレゼピ氏は、帰りがけに「蟻を探しに長野まで行く」と言った。緯度が高いデンマークでは育たない柑橘の代わりに、酸味として使うのだと。

レゼピ氏が帰ったあと、浅野はさっそく自分の畑で黒蟻を捕まえた。

「本当に甘酸っぱい味がしたよ。どう使うのか興味が湧いたね」

エビの上に点々とトッピングされた蟻。ショックを与えると「蟻酸」を分泌するという。食べれば組み合わせの道理がわかる(写真提供:エコファーム・アサノ)

「ノーマ東京」では、苔を使った料理とともに、「長野の森香るボタンエビ」という一皿が話題になった。ひと目見た瞬間、浅野はレゼピ氏が農場で発したある言葉の意味を理解した。

『Farm to Table シェフが愛する百姓・浅野悦男の365日』(平凡社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「『ぼくはおいしい料理を作ろうとは思っていない』とシェフは言ったんだ。おいしい、という当たり前の結果よりも、食べる人がどんなふうに感じるかが重要なんだろう」

非日常の空間であるレストランに求められるのは、「新しい出会い」だと浅野は言う。

目で見たときの驚きや新鮮さ、経験したことのない味わいや食感、思いもつかなかった食材の組み合わせ。そんな出会いを五感で楽しみ、「心で満足する」ことが大切なのだと。

Farm to Table――畑から食卓へ。そのひと続きの道を拓いた先駆者として、浅野は料理人とともに歩み、学んできた。

面白いと思ったアイデアは、すべて自分で試してから提案する。フィードバックを受け、また次に生かす。

土の上の日常の蓄積が、テーブルの上の非日常の結晶となるのだ。

*この記事の1回目:「伝説の農家」の極上野菜、3つ星シェフ食べた感想

*この記事の2回目:世界的シェフが大興奮「日本の"意外すぎる食材"」

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