≪ふるさと納税≫"9月末のポイント廃止"はどれほどの損? 慌てて駆け込む人が見落としていること
過剰なポイント競争の結果として、寄附者が本来の目的である「全国の自治体を応援する」という趣旨を忘れがちになっているのも現状です。今回の禁止をきっかけに、ふるさと納税の原点に返って本来の趣旨を改めて理解することが求められているのではないでしょうか。
ふるさと納税には、控除額の大部分が住民税で充てられるしくみ上、大都市圏から地方へ巨額な住民税が流出しているという弊害もあります。2025年度の全国の住民税控除の適用者数は約1080万人、控除額は約8710億円と過去最高を記録しました。
東京都23区ではふるさと納税による住民税の流出額が2025年度だけで約1065億円にのぼっており、これは人口約20万人の区が1年間に使用する額に匹敵しているといいます。
ふるさと納税で自分の住む地域のサービスに支障?
住民税の減収が続けば、道路や公園の管理、ごみ処理などのインフラ整備や、介護や保育施設、学校、子育て支援制度など、自分の住む地域の行政サービスの維持が難しくなるおそれもあります。「お得」のためにふるさと納税をした結果、自らの暮らしにかかわる行政が脆弱になるのでは本末転倒です。
同時に、地方自治体の間でも返礼品が魅力的な自治体に寄附が集中し、地方同士の格差が広がるといった、ふるさと納税制度の構造的な課題も指摘されています。
一方で、消費者側には価格が高止まりしているコメを返礼品で調達する、減税によって手取り収入を上げるなど、物価高への対策としてふるさと納税を利用する人も多く、国民の生活向上の面でも制度には一定の存在意義があります。
したがって、今回のポイント禁止が、過熱した市場に一定のブレーキをかける可能性はあるものの、ふるさと納税人気が急速に衰えるほどにはならないと考えられます。
むしろ、これをきっかけに、ふるさと納税の本質的な魅力に注目し、地方の活性化にも家計の負担減にも寄与するバランスのよい活用法を模索していくことが大切ではないでしょうか。
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