皿洗いで叱られ、清掃で褒められ…、52歳女性の「タイミー」奮闘記。《将来への危機感から始めたスキマバイト》で見つけた第二の人生

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40、50代の「タイミーおじさん」とご一緒する機会も多い(かくいう私もタイミーおばさんだが)。とくに気が合ったのが、自称「クラシックの音楽家」の50代男性。優しすぎて、この過酷な資本主義社会では相当生きにくそうな雰囲気だ。

音楽だけでは食べていけず、デリバリーの仕事とタイミーを併用していると言っていた。別れ際、二度と会うことのない「じゃあ、また!」のあいさつが切なく響いた。

50代以上にスキマバイトを勧めたい理由

運動不足解消のつもりが、得たものは想像以上だった。体だけでなく、脳が若返った気がするのだ。

50代にもなると、人から指示されることも怒られることも減ってくる。だが、タイミーとして新しい職場に入れば、右も左もわからない新人となる。毎日がビギナーだ。

そこで自分の子どもぐらいの、20代の社員やバイトリーダーから仕事を教わり、指示を受ける経験はとても新鮮で面白い。凝り固まった頭がほぐれていくようだ。

最近では、大手企業の部長や役員が現場感覚を取り戻すため、匿名でタイミーに挑戦するケースもあると聞く。ならばいっそ、管理職研修やハラスメント研修にスキマバイトを取り入れるのはどうだろうか。

自分が何者でもない、「ただの中高年の新人タイミー」として見知らぬ職場に入ったら、どう扱われるのか。座学よりもよほど身に染みて学べるというものだ。

多種多様な仕事を経験したことで、自分の「好き」や「向き・不向き」を改めて知れたことも収穫だった。店舗での品出しのような、黙々と行う作業が向いていると思ったら大間違い。人と触れ合う仕事のほうが好きだし、向いていることもわかった。

とくにお祭りイベントのサポートや、セミナーの司会の仕事があると胸が躍る。50代で「実は場を盛り上げる仕事が好き」だと気づいたのは遅いかもしれないが、それでもこの先の希望になった。

「50代からでもまだ見ぬ新しい自分を発見できる」――。まさかスキマバイトが第二の人生の道を照らしてくれるとは、思ってもみなかった。

伯耆原 良子 ライター、コラムニスト

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ほうきばら りょうこ / Ryoko Hokibara

早稲田大学第一文学部卒業。人材ビジネス業界で企画営業を経験した後、日経ホーム出版社(現・日経BP社)に。就職・キャリア系情報誌の編集記者として雑誌作りに携わり、2001年に独立。企業のトップやビジネスパーソン、芸能人、アスリートなど2000人以上の「仕事観・人生哲学」をインタビュー。働く人の悩みに寄り添いたいと産業カウンセラーやコーチングの資格も取得。両親の介護を終えた2019年より、東京・熱海で二拠点生活を開始。Twitterアカウントは@ryoko_monokaki

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