皿洗いで叱られ、清掃で褒められ…、52歳女性の「タイミー」奮闘記。《将来への危機感から始めたスキマバイト》で見つけた第二の人生

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飲食店は素人が容易に手を出せるものじゃない。音を上げた私が次に挑戦したのは、オフィス清掃の仕事だった。

朝の2時間だけ、デスクの拭き掃除をするという、虚弱体質の私にはもってこいの仕事。大企業のオフィスだけに綺麗で汚れもほぼない。

「清掃会社の社員が非常に優しい」と先輩タイミー(ワーカー)からの評価やレビュー(終業後の感想コメント)も素晴らしく、募集が出ると秒速で埋まる人気求人でもあった。

運よくこの仕事をゲットできた私は、清掃会社の先輩社員ともウマが合った。

「毎朝入ってくれたら助かるなぁ」とお世辞でも嬉しい言葉を伝えてくれる先輩社員。ついには、「ウチの会社と直接契約して働きませんか?」とオファーまでいただいた。

「おお、これがスカウトか!」と浮き足だったが、最終的には「タイミーの自由さ」を優先して丁重にお断りした。

会社としても、毎日人が入れ替わるタイミーよりも、定期的に働いてくれる直接雇用のほうが何かと都合がよいのだろう。タイミーは採用(出会い)の場にもなっているのかもしれない、とその時、初めて知った。

超人気求人がまさかの地獄バイト

初スカウトに気をよくした私は、「自分は結構、どんな仕事もこなせるのでは?」と悦に入っていた。これからは本業を複数持つ「マルチプル・ワーカー」になるのもいい。妙な全能感に浸っていた。

そんなときに見つけたのが、とある小売店の品出しの仕事。タイミーのワーカーたちからの評価が高く、「社員が優しく指示してくれた」「温かい雰囲気だった」とどれも最高レベルのコメント。やはり秒で埋まる超人気求人だったが、たまたま出た“空き”に滑り込むことができた。

どれだけいい職場なのかと心躍らせ、店に入ると、苦虫を噛み潰したような表情の女性社員が現れた。

「あなたたち、今日、初めて?」

女性社員はぶっきらぼうに、私ともう一人のタイミーさん(女性)に向かって言い放った。

「はい」と答えると、「じゃあ、やり方説明するからよく聞いて」と万事につけ、言葉がキツイ。タイミーに何か恨みでもあるのか、その後も我々への当たりが厳しく、「段ボールの置き方が悪い」「そんなこともわからないのか」と、一挙手一投足にケチをつけられる始末。

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