RAG FAIR・土屋礼央「声の挫折」乗り越え向き合ったもの。「ありがとう発声障害、ありがとう声帯ポリープ」と言えるようになるまで

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土屋礼央さん
アカペラグループ「RAG FAIR」の土屋礼央さん(写真:主婦の友社)
アカペラグループ「RAG FAIR」のメンバーとしてデビュー。現在はラジオパーソナリティーや執筆業などでも活躍する土屋礼央さんは発声障害で一時、音楽活動を休止していました。その時のこと、そしてどう挫折を乗り越えたのか。土屋さんの著書『捉え方を変えてみたら大抵の事が楽しくなった僕の話』より一部を抜粋し、振り返ります。

なぜか声が出ない

発声障害になって10年近くになります。

最初は、なんか歌が歌いづらいな……ぐらいだったのが時間を重ねるほど、どんどん声が出づらくなっていきました。高音域が出づらいだけなら、加齢もあるのかなと思えるのですが、出づらいのは高音域より、中音域だ。歌で言うなら、サビではなく平歌の部分。

声を出したくても、声にならず、空気が口から逃げてしまう。低い音域なのに音程が当てたい音に当たらないのです。そして静かなパートになると、声を飲み込む感じになり、出したいタイミングで声が出ない。

歌手として、これは問題だぞ……。

さらに歌だけでなく、普段の会話も声が出づらくなっていました。ファミレスで店員さんに声をかける時みたいに遠くの人に呼びかけようとすると、胸が締め付けられて声が出ない。

人と会話は出来るのに、話しかけようとすると、声が出ない。同じ感じで、台本を読もうとすると、声が出ない。ようやく出たと思ったら、声が潜る。最初の一音の音程が下からしか出ない。それを指摘されて直そうとすると、どんどん声が出なくなる。

症状が酷くなってくると、唾が飲み込めなくなりました。無意識な状態だと飲み込めるのですが飲み込もうと思うと、飲み込めないのです。なんだ?なんだ? 自分では理解が出来ない状態。声が出なくて焦れば焦るほど、悪化する感じでした。

原因もわからなかったので、ボイストレーナーの先生に相談。一定期間、基礎練を繰り返し、色々調整をしてみましたが、一向に回復傾向になりません。声が出る日もあれば出ない日もある。出ない日と出る日の違いがわかりません。

それでもライブはやり続けていたのですが、出ない日にライブがあたると大変です。無理やり声を出しているので、声帯も傷めて、序盤で声がカスカスになり、情けない状態に。

そして遂に、あるライブで本当に何も歌えなくなってしまった事がありました。誰が聞いても、おかしい歌。誤魔化せるレベルでも到底ない状態。プロとして、この状態でステージに立ってはいけなかったと心がどん底に落ちました。

次ページ早く良くなりたくて頑張ったのだが…
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