近づく死を見据えた手紙
昭和から平成時代に活躍したジャズピアニストの佐山雅弘さんは、2018年11月14日に胃がんによって64歳でこの世を去った。公式サイトのトップにはいまも別れの手紙が掲げられている。
加山雄三とタイガースが大好きな中学生。高度成長期大阪の衛星都市尼崎に親父が構えた小~さな小売商を継ぐことに何の疑念も持たないごく普通(以下)の子供がジャズとの出会いで、楽しさこの上ない人生を送ってしまいました。
まことに人生は出会いであります。
「君の身体は君の食べたモノで出来ている」と言いますが、まったく同様に僕という者は僕が出会った人々で出来ているのだとしみじみ実感したことです。
その出会いを皆様にあらためて感謝しつつ、今後益々の良き日日を祈りながらお別れをします。
ありがとう、さようなら
2018年11月14日 佐山雅弘>
一方で佐山さんは、同月にもゲストを招いたライブイベントを複数企画しており、数日前に体調悪化で出演を断念せざるをえない状況になるまでは自らもステージで演奏するつもりでいた。
近づく死を見据えて今生の別れをしたためる覚悟と、それでも多くの人と関係して生き続ける覚悟。両立が難しいところを、佐山さんはいかにも自然なかたちで同居させていた。なぜそれができたのか。その背景を公式サイトに残されたブログを中心に追いかけていきたい。




















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