常見:そこなんですよね。僕も案件で嫌な思いをしたことがあって、ほら、新規事業コンテストって、社内報なんかで誰が賞を取ったかわかるじゃないですか。「おいッ!」と思ったのが、準グランプリになっているのに、審査員の役員のコメントが「ウチのビジネスモデルと合わない」「ウチの目指す利益率では無理」ってのがあって。新しいことをやろうとしているのに、ウチのビジネスモデルとか利益率に合わないってどうなのよって思ったことがあって。
一緒に事業部内での新サービスを担当している先輩と、役員や部長にプレゼンをして玉砕して帰ってきたことがあるんですけど、そのときに彼がぼそっと言っていたのが、「これうちの上司に持っていかないで、外の投資家に持っていたほうが早いかもしれない」と。
コンテストで入賞しても事業化されない
石川:世の中の社内起業制度で、うまくいっていないものの、ひとつの理由は、コンテストで上のほうにいくんだけれども、事業化されない、なんなんだあれはっていうことは結構多いですね。リクルートでもそういうことは結構、起きていました。
コンテストと実際は別と言われると、「なんなんだっけ」という話になったので、当時、「俺がやる」って役員から手が挙がらなかった案件は入賞させない、と変えたことがあります。要はグランプリを取っているくせにやらないっていうのは、どうなのかと。「俺は担当していない」とひくんだったら、評価してもしょうがないので。
常見:ですよね。
石川:あの頃「スタ誕」っていう言い方をしていました。若い人は知らないでしょうね、テレビ番組「スター誕生!」って。デビューしたいっていう人が、そこで歌を歌って、プロダクションが自分の事務所に採用してもいいと思ったら、札を上げるんですよね。札がひとつでも上がったらそのプロダクションに採用される。3つ上がったら、そのプロダクション間で話し合って、どこのプロダクションに行くか決まる、というのがあったんですよ。
それをリクルートの新規事業コンテストでもやったことがあって、「今の案件ですけれども、僕がやりたい、責任を持って自分が担当役員としてやりたいっていう方はいますか?」って言って、手が上がらなかったらアウト。下馬評が高くても、点数が高くても、結局そういうのはやらないので。
でも、一人でもいると、そこで始めようと言ったりとか。たまに二人、手が上がると、お互いプレゼンし始めるんですよね。「僕はこういう手法軸でこういきたい」とか「僕はユーザー軸でこういうのを広げたい」とかそういった話になったり。「たしかにその可能性があるよね」と、話し合いにならなければ、あとは役員同士で話をして、全社的な見地でどっちの文脈でやったほうがいいかと決めたりとか。
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