美しい棚田の保全は、こんなに難しくなった 「恋人の聖地」にも選ばれた浜野浦の棚田の今
棚田の保全や、棚田のある地域の活性化を考える「第21回全国棚田(千枚田)サミット」が23、24の両日、佐賀県東松浦郡玄海町で開かれている。全国の棚田のある自治体や保全活動に取り組む団体などから約660人が参加する。日本の棚田百選に選ばれている同町の「浜野浦の棚田」を全国に発信しつつ、美しい景観をいかに維持・管理していくか意見を交わす。
テーマは「共につたえよう美しく豊かな棚田~ふるさとを未来へつなぐ」。県内では浜野浦をはじめ6カ所が棚田百選に選ばれており、全国サミットの開催は1996年の西有田町(現有田町)、2004年の相知町(現唐津市相知町)に続き3回目となる。
「棚田保全の必要性」を説く
初日は、地元園児や小中学生が棚田テーマソングや和太鼓演奏でオープニングを飾った。開会式と事例発表の後、2005年の国際博覧会「愛・地球博」(愛知県)で会場演出の総合プロデュースを務めた造園家の涌井雅之さんが「景観からみた日本の心」と題した基調講演が行われた。
その後、三つの分科会に分かれて「棚田保全の必要性」「棚田を活かした農業経営」「地域資源を活かしたムラづくり」について、地元住民を交えて意見交換。全体交流会では、海の幸や山の幸など玄海町の豊かな食材を使った料理が振る舞われた。
24日は、浜野浦の棚田を組み込んだ4つのコースで見学会をする。薬草園などの町内施設を見たり、同じく棚田百選の「大浦の棚田」(唐津市肥前町)を散策したり、名護屋城跡(同市鎮西町)や石工の里を巡って棚田の石積みとの関連性を考えるコースも用意されている。