自治体が「3セク」で失敗を繰り返す3つの理由 南アルプス市では開業3カ月で破たん危機

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山梨県の南アルプス市といえば、写真の富士山に次ぐ北岳などの名山があることで知られる。だが第3セクターでは大変な事態に(写真:fujiyama/PIXTA)

南アルプス市では、開業からわずか3か月で破たん寸前に

今回は、地方自治体の第3セクターの問題点について述べてみたいと思います。

全国には行政が主導して開発した案件で失敗するものが後を絶たず、地域活性化をするところか、衰退の引き金となっているものも少なくありません。その中で、依然問題なのが、地方公共団体が何らかの形で出資したり、人材などを派遣して設立する事業体が「第3セクター」(3セク)です。こうした第3セクター等の事業体は、全国に7745あります(総務省調べ)。

しかし、例えば、先日も山梨県の南アルプス市が進めていた地域活性化特区事業が、開業わずか3カ月で経営破綻の危険に直面、地元で大騒動となっていることが明らかになりました。

どういうことでしょうか。南アルプス市は、国から「地域活性化特区」の認定を受け、地域活性化の事業を開始します。すなわち、大型の観光農園をつくって、農産物の生産から加工、流通までを行う、いまはやりの「農業の6次化」を期待した大型事業です。市は「南アルプスプロデュース」という3セク会社まで設立、今までに8億円をつぎこんだのですが、開業3カ月で運転資金が枯渇してしまい、現在、行政が救済に出ているのです。

私たちは全国のこうした失敗事例を「墓標シリーズ」として整理して発信をしていますが、いまだにこのような失敗事例が後をたちません。

なぜこのような、自治体が本気になった3セクの失敗が繰り返されるのでしょうか。

次ページ問題が未解決のまま、全国で残る3セクが少なくない
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