TPP対策、新生JA全中の弱腰に不満噴出 対応を誤れば、日本農業に甚大なダメージ
10月14~15日に終了したJA全国大会は、農業所得の増大や農業生産の拡大を目指し、2016~18年度に地域農協の自主的な改革を進めるとの大会議案を決議して閉幕した。だが関係者の関心は、大会直前に大筋合意した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への対応にあった。全国大会でも、組合員から大筋合意の内容に対する不満や不安が相次ぎ、TPP対策運動を継続する特別決議も採択された。
詳細なTPP対策は公表されず
しかし今回、JAグループの司令塔としての役割を担う全国農業協同組合中央会(JA全中)は、TPPへの詳細な対応策を公表しなかった。
本来、JA全中には、個々の地域農協では対処の難しいTPPのような問題にこそ、より密接に寄り添って対応することが求められるはずである。
TPP発効までには2年以上かかるとの見方が専らだが、関税の撤廃や大幅引き下げに備えるための時間はいくらあっても足りないはずだ。政府・与党は11月にもTPP対策をまとめる考えで、JA全中もスピード感を持って対応しなければならない。ここで、JA全中が対応を誤れば、日本農業に甚大なダメージを与えかねない。もし、彼らが有効な手だてを打ち出せなければ、JAグループ内からもJA全中不要論が噴出する可能性がある。
「(大筋合意の)内容は納得できない」。大会初日の14日、講演に立った前農相の林芳正氏に対し、参加者からTPPへの不満が表明された。別の参加者からも、政府がコメなど重要5項目を「聖域」として交渉に臨むと言ったことに関し「(コメなどは)守ると言ってもらったが、結果的には守られていないと思っている」との声が上がった。
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