島民の3倍!佐賀「イノシシ島」に広がる悲惨 本土より離島の被害が深刻化しやすいワケ
唐津市の離島でイノシシ被害が深刻化している。
最も被害が大きいとみられるのが鎮西町の加唐島。15年ほど前、本土から泳いで渡ってきて繁殖し、今では300頭以上が生息しているという。これに対し島民は105人(8月末現在)と過疎化が進んでいるうえ、65歳以上が7割を占め、駆除する人手も欠く状況が続いている。
古代朝鮮の百済(くだら)国王「武寧王」の生誕伝説が残る同島。王が生まれたとされるオビヤ浦に向かう道路は、周辺の畑が荒らされた影響で、土砂崩れや落石が目立つ。
ここ5年で被害が深刻化
「イノシシがミミズや草の根を探して土をほじくり返すせいで、このありさま。メッシュ(金網)をしていない畑はみんなやられる」。島の区長、緒方正善さん(66)はため息をついた。
イノシシ被害が深刻化したのはここ5年ほど。今年3月、県や市、JAの担当者が南北3キロ、面積2・8平方キロの島内を調査、法面が崩れたり、畑が荒らされた状況などから300頭以上生息すると推計した。
荒らされる畑の多くは家庭菜園。カボチャやサツマイモなど、島民にとって貴重な食料が根こそぎ食べられている。「本土に買い物に行くにも船賃だけで往復1000円ぐらいかかるし、暮らしていくには畑の作物が欠かせない。でも、作っては食べられる状態が続けば、やる気もなくなる」と高齢の女性はつぶやく。