島民の3倍!佐賀「イノシシ島」に広がる悲惨 本土より離島の被害が深刻化しやすいワケ
イノシシはもともと夜行性だが、島内での「数的優位」を誇ってか、日中にうろつく姿も。島北部に住んでいたという別の女性は、イノシシ被害による落石で家のサッシが壊れたという。「もうここには住めない」と実家がある島南部に身を寄せた。住む場所まで追われる事態が起きている。
離島が本土以上に被害が深刻なのは理由がある。狭い島では住民や釣り客への安全上の配慮から猟銃での駆除はできず、打てる手は仕掛けで誘い込む「箱わな」による捕獲だけ。
加唐島でも年30~50頭を箱わなで捕らえているが、1回4~5頭、年2回出産するイノシシの繁殖力には追いつかないのが実情だ。
島の人口は過去10年で半減
畑への侵入を防ぐ自衛手段も金網で畑を囲い込むしかなく、県は2年前から家庭菜園にもワイヤメッシュ整備奨励の補助金を始めた。馬渡島や神集島など市内のほかの離島と比べ、メッシュ整備の補助制度活用が少ない加唐島に対し、市は利用を呼びかける。
ただ、加唐島は住民の7割が65歳以上という「超高齢化」の島。一本釣りを中心にした漁業が基幹産業だったが、燃油高騰や魚価低迷などで、新たな職を求めて島を後にする若者も多い。島の人口はこの10年間でほぼ半減した。
「高齢化が進み、駆除の担い手は限られている。しかし、今あきらめてしまったら、10年後はもっと大変になる」と緒方さん。イノシシが“わがもの顔”で闊歩(かっぽ)する現状に歯止めがかけられるか、島民の苦悩は続く。
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