そう。単なる「鶏の唐揚げ タルタルソースがけ」とは決定的に違う所以がここにある。
それは、唐揚げとは違い、小麦粉の後に卵液にくぐらせて鶏肉を揚げているということ。そのおかげで衣にはひたひたに甘酢が染み込み、口あたりがやさしくなる。やわらかな衣を噛み締めると、じゅわっと甘酢が口の中に広がった。甘酢はしっかりと甘く、その奥に穏やかな酸味が感じられる。
店員さんにおいしさの秘訣を尋ねたところ、「若鶏の胸肉をよく揚げて、甘酢にしっかりと漬け込むこと」との答えが返ってきた。なるほど、これは確かにしっかりと漬け込まれている。

さらに、鶏肉を覆わんばかりのタルタルソースにも注目したい。甘酢に負けず劣らずしっかりと甘く、酸味は控えめで濃厚だが、しつこさはない。具材は小さく刻まれているので舌触りがなめらかで、主役となる鶏肉の味わいを邪魔しないのも良い。ソースの粘度が高く、鶏肉にしっかりと絡み、食べ進めるごとにもう一口と箸が止まらなくなる。

そして、大皿の隣にはもうひとつの峰、白米の山がそびえる。この令和の米騒動真っ只中に、一切の遠慮がないこの盛りっぷり。タルタルソースをたっぷり絡めた濃厚なチキン南蛮ひと切れを口に頬張り、間髪入れずにごはんをかき込めば、もう箸が止まらない。チキン南蛮をバウンドさせ、甘酢とタルタルソースをなじませたところを一気に食らうのもまた一興だ。

チキン南蛮の背後に構えるナポリタンと千切りキャベツも、つけあわせと呼ぶにはもったいないほどの存在感を放つ。オレンジ色のサウザンアイランドドレッシングがかかった千切りキャベツはみずみずしく、ちょうど良い箸休めに。量も多く、チキン南蛮の濃厚さをさりげなく中和してくれる。ナポリタンは、ごはんが進む甘めで濃い味だ。ジャンク感のある鮮やかな赤い色がどこか昔懐かしく、お弁当に入っていたら絶対うれしいタイプだろう。
名物はチキン南蛮だけとあなどるなかれ
実はおぐらには他にも隠れた名物があるのをご存じだろうか。それは「ちゃんぽん」だ。「チキン南蛮よりちゃんぽん派」の県民も意外と多く、チキン南蛮を制した暁にはぜひちゃんぽんにもトライしていただきたい。

ちゃんぽんは、直径約21cmの超巨大どんぶりでどーんと登場。レンゲも今まで見たことないような巨大さだ。具材はかまぼこ、たこ、豚肉、ちくわ、ゆでたまご、きくらげ、人参、もやし、キャベツ、ニラ、玉ねぎ(具の種類は変わることも)。下の麺が見えないほどたっぷり乗せられ、上にゴマ、コショウが振りかけられている。
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