
店の外観は懐かしい昭和のファミリーレストランといった雰囲気で、テラコッタ色の屋根とトーテムポールをモチーフにしたカラフルな柱が南国感を力強く演出している。
開店時刻の11時になると同時に、店員さんが手際よくお客さんを店内に案内していく。店内は広々としていてソファ席や座敷席が多く、ゆったりと過ごせる。まぶしいオレンジ色のソファに青空が描かれた天井、レトロな置物たち……ごちゃまぜなインテリアがどこか実家を思わせて、妙に落ち着く。店内BGMではJ-POPが流れ、のんびりとした南国っぽい雰囲気も醸し出している。

メニューはチキン南蛮を筆頭に、カレーやチキンカツといった「洋食」、しょうが焼き定食や天ぷら定食といった「定食物」、えびフライ丼や牛丼といった「丼物」など、多種多様に展開されている。
もちろん注文するのはチキン南蛮……いや「おぐらのチキン南蛮」だ。店名を冠したメニュー名、「昭和34年より守り続けた伝統の味」の説明書きも相まって、そんじょそこらのぽっと出のチキン南蛮との格の違いをまざまざと感じさせられる。
おいしさの理由はひたひたの甘酢、濃厚タルタルソース
オーダーはデジタル化されておらず(※取材時点)、パリッと糊の効いた白いシャツに蝶ネクタイの制服をまとった店員さんが注文を聞きにきてくれた。しばらく待ち、「お待たせしました!」の声とともに運ばれてきたのがこちら。
※編集部注 この取材の後、2025年7月18日より「おぐら瀬頭店」では注文用タブレットが導入された。

何度も食べたことがあるにもかかわらず、運ばれてくると思わず「おお!」と感嘆の声を上げてしまう堂々たるたたずまい。直径30cm近い大皿に黄金色の鶏肉が鎮座し、タルタルソースが惜しげもなくたっぷりとかけられている。その背後では、千切りキャベツとナポリタンがどっしりとチキン南蛮を支えており、峰のごとくそびえ立つ。
さっそくナイフを入れてみると、胸肉を使用しているとは思えないほど刃先がやさしく沈んでいく(ちなみに、宮崎においてチキン南蛮はもも肉派と胸肉派に分かれ、おぐらは胸肉派の代表格として広く知られている)。

さっそくひと切れを口に運ぶと、噛み締めるたび甘酢の豊かな風味と香り、胸肉ならではのうまみが何度も繰り返される。
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