とはいえ、単一の会社が、同じベーカリーブランドを複数構えれば、カニバリ(共食い)を起こす懸念もある。
そうした疑問に対して、湯川氏は「両ブランドのコンセプトを掛け合わせることはない」と明言する。『SAKImoto bakery』は従来通り女性層を狙うスイーツ色を、同様に『銀座に志かわ』も食パンの軸はブラさない方向性だ。


商機は中国にあり
では、『銀座に志かわ』の活路はどこにあるのかーー。その答えが「海外展開」と「イートイン」だ。
商機を感じたきっかけは2023年5月、中国初上陸となった『上海新天地店』のオープン時だった。中国では食パン1本2000円と、日本国内の倍近い価格帯の商材も用意したなか、開店時は数百人規模で行列ができたという。中国としても当時、食パン専門店は本土になく、その珍しさから客が殺到した。
「中国では、伝統的な朝食として、お饅頭やお粥、麺類、蒸しパンが主流で、いわゆる食パンを食べる文化があまり根付いていない。あるとしてもカリカリに焼いたトーストのようなパンが主流で、『銀座に志かわ』で展開する、焼かなくてもしっとりと美味しい食パンは話題性があったと見ている。
加えて、上海は世界でカフェが最多の都市で、中国全体で見ればスタバの店舗数もアメリカに次ぐ2位となっている。カフェ文化が栄える14億人の商圏に、ベーカリー業態をいち早く構えれば、業績も好転していくと考えた」
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