「新業態では、商品構成と価格帯を、“食パン専門のプレミアム路線”と、“一般的なベーカリー”の中間にポジショニングしていく。そのなかでデニッシュやレモンケーキのようなバリエーションを充実させていく」と水倉氏。高級食パンの狙い撃ちができなくなった状況下で、ブランドの色を際立たせた方向に舵を切る。
最盛期の約40店舗から、2025年6月末時点で14店舗に縮小した『SAKImoto bakery』だが、2028年を目処に最盛期までの規模に戻すと意気込む。

同業他社を子会社化する理由
その『SAKImoto bakery』を、2024年に子会社化したのが、前出の『銀座に志かわ』を展開するOSGコーポレーションだ。同社はもともと浄水器の製造販売メーカーとして1970年に創業したのち、事業セグメントの拡大を狙い、後発ながら高級食パン業界への参入を決めた。
2018年の創業から僅か3年弱、2021年1月期(2020年2月1日~2021年1月31日)には業績41億4276万円(前年同期比60.1%増)を記録して、最盛期には国内外で約140店舗まで拡大を見せた。
業界でも成功が目立つ『銀座に志かわ』だったが、その後は頭打ちの状態が続き、『SAKImoto bakery』の子会社化に乗り出した。
「他のブランドとの資本提携も検討したが、『SAKImoto bakery』が魅力に映ったのは、インスタグラムのフォロワーを20万人近く抱えているところ。たとえ規模が小さくても、メディアに取り上げられる話題性があれば将来性も見込める。高級食パン全体のブームが落ち着いた現在も、『Sakimoto Bakery』はブランドが生きていると感じた」
OSGコーポレーション代表取締役の湯川剛氏は、そう買収の内情を明かす。いわば『Sakimoto Bakery』が商材を増やして再起を図るのと同様、OSGコーポレーションはポートフォリオを盤石にする形で復権を目論む。
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