「SNS熱狂!音の仕掛け」「脱通りすがり」・・・最近やたら目にする《ビアードパパ》"急増のワケ" 社長が「あまり言いたくない」と渋る業績の裏側

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ビアードパパ新橋ウイング店
最近増加中のビアードパパ。写真は旗艦店のウィング新橋店(撮影:尾形文繁)
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最近街を歩いていると、シュークリーム専門店のビアードパパの黄色い看板がやたら見かけることが多くなった。2019年(2月末時点)の208店舗から2025年11月時点297店舗と、約6年で100店近く増えている。

実はうどんや串カツなども展開していた

ビアードパパの特徴は、店で焼き上げた生地に店で仕込んだカスタードクリームを、注文を受けてから客の目の前でシュー生地に詰める「実演販売」だ。価格も定番のパイシュークリームで1つ240円(税込)とお手頃だ。

自分へのご褒美やお土産、家族団らんにぴったりのスイーツとはいえ、6年で約100店舗の増加はかなり多い。背後に何があるのだろうか。ビアードパパを運営するDAY TO LIFEの杉内健吉代表取締役社長に取材した。

生地を焼成する様子
大阪にある工場で生産した生地を各店舗に配送。店舗では客入りを見ながら都度焼き上げるため、いつでもできたての味を提供できる。季節により焼成時間の調節が必要で、店長の裁量が試される(撮影:尾形文繁)
カスタードクリームを注文後にシューに詰める様子
カスタードクリームも店舗で仕込み、注文後にシュー生地に詰める。カスタードクリームと生クリームをマーブル状に合わせることで程よい甘みに仕上がるのだそう(撮影:尾形文繁)

まず、業績の変化について聞いたところ、杉内氏は「あまり言いたくない」と渋い顔をしながらも次のように説明した。

「コロナ前は微増で、事業を大きく転換しようとしていた。コロナ禍では客席のある業態はガクンと落ちた。ところがビアードパパはテイクアウトなので案外健闘して、2020年の6月には前年を超えていた。そして2021年、全体の売上高は2019年と同程度に戻った」(杉内氏、以下発言はすべて同)

同社はもともとビアードパパを主力にしながらも、ほかにうどんや串カツ、カフェなど多業態を展開。そして2019年頃は、東京オリンピックを睨み、それら客席のある業態を大きく広げていこうとしていた時期だった。2020年の5月、6月と渋谷、六本木にもカフェをオープンしたが、閉めざるをえなかったという。

「客席のある業態は軒並みやめた。それを機に事業フレーム、ポートフォリオを変更してスイーツに特化した」

つまりビアードパパを主力とするスイーツのテイクアウトに集約したことが、業績の早期回復や現在の好調へとつながっていることになる。

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