本当の「傾聴力」は、内容の9割を聞き流す力だ

人気の「繰り返し技法」に潜む、2つの落とし穴

仕事を依頼した部下に、「私、この手の処理は苦手で」と言われ、「苦手だと思うんだね」と対応します。最初の一言はこれでもいいでしょうが、部下が「今抱えている仕事もありますし」と言い、上司が「抱えている仕事もあるんだね」なんてやり取りをしていたら、仕事は一向に進みません。「じゃ、やらなくていいよ」というわけにはいかないのです。

部下の気持ちを毎回受け止める対応をしていたら、上司は何も指示ができなくなります。悪いケースでは、上司がメンタル不調になってしまったという笑えない事態も、実際に起きています。指導や指示と傾聴を混同することを避けなければなりません。

傾聴は「流しそうめん」だ!

このように、傾聴技法はそう簡単に身につくものではありません。ただ、すぐに実践できる心得もありますので、紹介しておきます。まず大切なのは、「今」相手が話している気持ちに敏感になること。そして、気持ちは、流動的であるということを心に留めておくこと、です。

話しているうちに、気持ちは、流れる水のごとく変化し続けます。ですので、新鮮な「今」の気持ちに応えることが、聴いてもらえているという感覚につながります。

「流しそうめん」を思い浮かべてみてください。流れている水(事実説明)はぼんやりと眺めつつ、そうめん(気持ち)が来た時だけしっかりキャッチ! 事実を正確にとらえることではなく、どんな気持ちを伝えたいかをとらえることに注力する。9割がたの話を聞き流すことになると思いますが、これが本当の「聴く」ということなのです。

どんな話にも、必ず話し手の気持ちが存在しています。気持ちに寄り添うことができれば、真の「聴く力」は発揮され、自ずと良好な人間関係が築けることでしょう。

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