実は200を超える自治体に不動産業者が「いない」リアル。空き家対策や地方再生などに影響も。熱海の事例から《不動産業の未来》を考える

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この傾向は今後も間違いなく続く。

下のグラフは不動産業界団体のひとつ、全国宅地建物取引業協会連合会(以下全宅連)が令和6年3月に出した「人口減少等を踏まえた空き家対策等における宅地建物取引士の業務のあり方に関する研究報告書」に掲載されたデータで、今後の不動産業者の減少推移を推定したもの。

3大都市圏では20年後に2022年度比で96.8%と微減程度だが、その他の地域では83.1%に減少すると予測している。

宅建業者の推移予測(減少推移)
(画像:全国宅地建物取引業協会連合会「人口減少等を踏まえた空き家対策等における宅地建物取引士の業務のあり方に関する研究報告書」 令和6年3月より)

また、不動産業者がゼロとなる市区町村比率の予測では20年後には3大都市圏では4.5%にとどまっているものの、その他地域では23.1%に及ぶとされている。

全国の市区町村の4分の1弱の自治体で不動産業者がいなくなるのである。

宅建業者が0となる市区町村比率の予測
(画像:全国宅地建物取引業協会連合会「人口減少等を踏まえた空き家対策等における宅地建物取引士の業務のあり方に関する研究報告書」 令和6年3月より)

この数字は平均なので、エリアによっては4割、5割の市区町村で不動産業者がいなくなることも考えられる。当然、そうした自治体では不動産が動かなくなる、動きにくくなっていくはずである。

地方再生も不動産業者がいなければ……

空き家対策の現場では不動産業者がいないという問題はすでに10年以上前から課題とされていた。中山間地を中心に空き家を空き家バンクに掲載しようとしても不動産業者がいないために物件調査が行えず、作業ができない。結果、空き家放置が進む、とそんな話である。

空き家が動かなくなるだけではない。国は23年度から地方移住を促す支援金を拡充、転職なき移住、二拠点居住を推進するとしており、地方に暮らしてみたいと思う人、人を呼びたいと考えている自治体双方にはチャンスなのだが、それも不動産あっての話。

実際のところ、地方に一時的にでも居を構えたいと思っても適当な不動産がなくて断念という話は少なくない。地方再生のきっかけを不動産不足、不動産業者激減が潰す、そういうことが懸念されるわけだ。

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