実は200を超える自治体に不動産業者が「いない」リアル。空き家対策や地方再生などに影響も。熱海の事例から《不動産業の未来》を考える

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

もうひとつ、災害後の復興には住宅、不動産が必須だが、そこにも不動産業者不足は影を落とすだろう。

だったら、不動産業者を増やす手を考えればいいと思うかもしれないが、そもそも、これからは従来型の不動産業者では食っていけない。

これまで不動産業者は賃貸にせよ、売買にせよ、事業者だけが持つ豊富な情報を背景に物件を右から左に動かして仲介手数料を稼いでいたが、不動産価格が下がるとそれに連動して仲介手数料も下がり、どんどん商売が成り立たなくなってくる。

空き家問題を巡る議論では空き家は価格が安く、仲介手数料が手間に比べて低すぎるため、不動産会社が扱いたがらず、だから流通しないという意見が根強い。だが今後、不動産価格が下がれば空き家に限らず、不動産仲介そのものが商売にならなくなる。

今は不動産業者だけが占有している物件情報も大家が自分で発信するようになるなどで開かれつつあり、不動産業者のうま味は薄くなってきている。

人気の熱海は今

移住・開業などの希望者、つまり不動産を求める人が多く、人気に加え、賃料、不動産価格が上昇傾向にある静岡県熱海市でも不動産仲介だけでは収益は上がりにくくなっている、と話すのは株式会社マチモリ不動産の三好明さん。

熱海駅周辺
観光客で賑わう熱海駅周辺。だが、賑わっているのは一部だとマチモリ不動産の三好さん。また、日帰り客が増えているとも *写真の一部を加工しています(写真:筆者撮影)
建設中のホテル
市内では大手デベロッパーによる旅館跡地での新たなホテル建設も行われていた *写真の一部を加工しています(写真:筆者撮影)
建設現場
一方で建設計画はあるものの、着工が遅れている現場も(写真:筆者撮影)
次ページ不動産業者「仲介だけで経営はなかなか難しい」
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事