実は200を超える自治体に不動産業者が「いない」リアル。空き家対策や地方再生などに影響も。熱海の事例から《不動産業の未来》を考える

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「熱海でも熱海銀座商店街で坪3万~4万円、駅前になると坪7万円、新築のワンルーム25㎡が7万円などと不動産価格は爆上がりしており、それが平均価格を少し上げていますが、そうしたエリアは全体の2割もありません。

残り6割ほどはだらだらと下落、さらに残り2割は価値ゼロ、動きもない状態です。

また、熱海には空き家はたくさんありますが、貸せる物件は少なく、借りたい人は多い。そのために時間をかけて所有者を探し、口説き、貸してもらえるようにするわけですが、それでも賃料が5万円で受け取る仲介手数料が5万円では採算が合いません。

2024年7月1日以降、空き家の流通を促進するため、800万円以下の仲介手数料の上限が33万円(税込。買主、売主それぞれからこの額を受け取ることができる)に引き上げられましたが、契約までに至る手間、時間を考えると仲介だけでは経営はなかなか難しい状況です」(三好さん)

不動産にまつわるあらゆることを手掛ける

そこで三好さんが何をやっているかといえば、従来型の「不動産を右から左に動かす」だけではない事業である。

たとえば移住者の住み替え需要に対応してリノベーションを行い、仲介もやる。自分で空き家、空室を買って手を入れて貸す。DIY可で貸す。商店街の空きビルを住宅にコンバージョンして貸す。そのほか、従来の不動産会社がほとんど手を出してこなかった分野を開拓する……。

最近では会員制の銭湯を作ったり、100㎡超のワンルームという宿泊施設など社会全般で見ても珍しい物件も作っている。今年の秋には建設業許可を取得する予定もあり、不動産にまつわるあらゆることを手掛けていると言ってもいいほどである。

三好さん
マチモリ不動産の三好さん。ビルの空中階を利用した宿泊施設現場にて(写真:筆者撮影)
銭湯「渚ゆ」
渚町に35年ぶりに誕生した銭湯「渚ゆ」。かつてたくさんの共同浴場があったため、熱海市内には風呂なし物件が多いのだが、共同浴場が減少、そうした物件の空き家化が進んでいる。銭湯を作ることでそうした物件を銭湯付き物件として再生しようという試みだ(写真:筆者撮影)
次ページ地域で生き残るために必要な視点
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事