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「業績が上がりすぎてびびっています」 サンマルクが買収した「牛カツ店」。「インバウンドが連日行列」する店は、一体どこが魅力なのか?

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「京都勝牛」の特徴はもう1つある。店員に話しかけられる機会が多いことだ。

その柱となっているのは、「ヒアリング」「プロデュース」「クロージング」3つのプロセスからなるサービスだという。

寺町京極店には、調理場が眺められるカウンター席が(写真提供:ゴリップ)

ヒアリングとは、来店した人に、「初めてですか」「おなかはどんな塩梅ですか」などと声をかけて来店動機や背景を聞くこと。プロデュースとは、ヒアリングの内容に合わせて、「それなら、この商品がぴったりです」などとおすすめすること。そして、食べ終えた後の「クロージング」で感想を聞いたり、「ちなみに2回目のご来店はこれがおすすめです」とリピートを促すのだ。

「これらの会話があれば、お客様を『営業マン』にして店の外に放てる可能性が高まります」と洪社長はいう。客みずからが営業して、人を連れてきてくれるという意味だ。

そういった存在は、DX化、IT化した接客では決して現れない。だから人がサービスをしてくれることに意味がある、という。

しかし昨今は、外食産業で働きたい人の数が激減し、「AIやロボットを活用して、いかに省人化するか」に注目が集まる時代だ。それでも洪社長は、「京都勝牛は、サービスやメニュー説明など、お客様との会話をAIや機械に任せない」と言い切る。

「私が飲食業をはじめた理由には、定食屋のおばちゃんとの会話のような、暖かなコミュニケーションへの感謝があります。『お客様はタブレットで注文し、人は出てきた料理を運ぶだけ、感想も聞かない』。そのような在り方は私にとっての飲食業ではないのです」

東武百貨店レストラン街のなかにある、池袋東武店(写真提供:ゴリップ)

サービスは飲食業の「要」であると、固く信じているのだ。実際、「トリップアドバイザー」や「Googleビジネスプロフィール」のクチコミを分析しても、低評価が入っているのは味や清掃ではなく、すべてサービスについて。「サービスが悪い店はいずれ消えていく」と確信している。

業績は好調、「上がりすぎてびびっています」

これらの工夫と信念が功を奏し、京都勝牛の業績は好調だ。売り上げは過去1年、2月をのぞいて過去最高を更新している。「上がりすぎてびびっています」と言いつつ洪社長は喜びを隠さない。行列の店だけあって、回転数も1日10~12と高い。

厚切り牛タンカツ膳。牛タン特有の心地よい歯応えが楽しめる(写真提供:ゴリップ)

独自の味、仕入れや人件費削減戦略、会話重視のサービスと、前編で、連日行列の理由が見えてきた。後編ー「訪日客が9割の店もある」牛カツチェーンの京都勝牛。日本人客が"ごく一部"になっても社長が「それでええ」と言い切る深いワケでは、インバウンドから高評価を得る戦略を探っていく。

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