備蓄米を放出したのに高すぎる…コメ価格高騰がいつまでも終わらない根本原因

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そもそも、コメの生産高は、日本を除いて各国ともここ20年の間に大きく伸ばしている。日本の国産米は、中国やタイの2~3倍の価格差があり、コストが高いことを物語っている。日本のコメは、いまだに田植えを行う旧式の農法で、農業生産の最先端から遅れているという指摘もある。

食料安全保障をもう一度考える時期

そもそも食料と農産物の貿易額は近年大きく伸びてきた。2000年には世界で4000億ドル程度だったのが2022年には1.9兆ドルと約5倍に拡大している。それだけ食料品の貿易の自由化が進み、自国だけの生産に頼らず、それぞれ相互依存することで、食料安全保障を強化してきた。言い換えれば、自民党が考える、コメだけは自国生産という考え方が、すでに古い考え方とも言える。

「豊作時には余剰の食料を輸出し、不作時には他の国から輸入できる貿易体制を整えることが食料安全保障の支えとなる」(「グローバルオピニオン、貿易分断、食料供給揺らす」日経新聞5月8日朝刊)という考え方が、今やグローバルスタンダードになりつつあるのかもしれない。

そういう意味では、トランプ関税のような世界の貿易分断政策は、世界中の食料危機を招く恐れもある。さらに最近の気候変動の規模の大きさは、世界的な食料危機ももたらす恐れもある。日本も、令和のコメ騒動を機に、食料安全保障をもう一度考える時期に来ているのかもしれない。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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