備蓄米を放出したのに高すぎる…コメ価格高騰がいつまでも終わらない根本原因

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簡単に要約すると、次のような要因があると言われている。

●2023年産のコメは、実質的な減反政策と異常気象で約40万トン不足した。
●2023年に収穫されたコメは24年に消費されるのだが、スーパーからコメが消えたため、2024年8〜9月にかけて24年に収穫されたコメを「先食い」して凌いだとされる。その結果、2025年1月の時点で、民間のコメ在庫量は43万~44万トン減少することになった。
●農水省と農業協同組合(以下JA)は、コメは不足していないと主張している。
●備蓄米の放出に際して、JAに依存したため、備蓄米の流通に支障が出た。

もともと日本のコメの生産現場では厳しい状況が続いていると報告されている。農家のコメ作りの報酬があまりに低い現状が当たり前のように報道されてきた。

確かに、日本のコメ農家は減反政策によって、支えられており、海外に比べてもその生産性は著しく低い。稲作農家の95%は赤字であり、農林水産省の「農産物生産統計」のデータから判断すると、17ヘクタール以上の農地を持つ稲作農家になって、はじめて年間280万円程度の黒字になると報告されている(三菱総合研究所「コメ農家が赤字でも米を作り続ける理由」2023年7月12日より)。

「減反・高米価政策は、本来市場から退出すべきゾンビ農家を温存してきた。欧米ではパートタイム農家と呼ばれる零細規模の兼業農家は、コメ農業の担い手ではない。フランスでは農政の対象ですらない」(令和のコメ騒動 農水省が招く飢饉」山下一仁、月刊正論、2025年4月1日発売より)

コメ不足に対応できない背景事情

これまで日本の政治家は、与党、野党含めてすべてが食糧安全保障などを名目に、「コメ価格を下げろ」とは指摘してこなかった。農家の票が欲しいからだが、そのおかげで、日本のコメは国際的に価格競争力が低く、ほとんどコメを輸出に回してこなかった。

その分、国は税金を使って形を変えながら実質的な減反政策を続けてきたわけだが、あらかじめコメの生産や流通を自由にして、コメの価格を下げて輸出に回していれば、こうしたコメ不足にも対応できたはずだ。

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