備蓄米を放出したのに高すぎる…コメ価格高騰がいつまでも終わらない根本原因

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さらに、今後10年間に稲作農家の数は激減すると予想されており、2030年の稲作農家の数は2020年の半分になる、という試算も出ている。さらに、JAが4割を握るコメ流通の脆弱性も、今回のコメ騒動では露呈してしまった。

ロシアがウクライナに侵攻したことで、小麦の国際価格が高騰したが、その原因は小麦の不足と言うよりも、小麦の流通経路が戦争によって遮断されたからだといわれている。今回のコメ価格高騰も、政府の備蓄米の放出先をJAなどの大手卸売業者に限定したために、備蓄米がスーパーに届くのに時間がかかってしまった。それが原因で昨年よりも2倍と言う価格になってしまった。食料品の価格は、流通経路の問題に直結しているからだ。

食料安全保障を維持するためにはコメ自由化を?

トランプ関税が世界中を混乱に陥れているが、その原因は食糧供給のネットワーク分断にあるからだ。中国等が小麦などの穀物をアメリカからブラジルにシフトする動きが強まっているが、生産量や貿易量が変わらなくても、流通先を変更するには大きな混乱を招く。その結果、穀物の価格を上昇させるわけだ。

今回の日本のコメ騒動も、確かに減反政策や気候変動などによって40万トンが不足したのだが、備蓄量を考えれば大した不足ではない。にもかかわらず、価格が2倍になったのは、コメの流通に大きな力を持っているJAの存在があるからだ。

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