絶好調「鳥貴族」の陰で大赤字、黒歴史と化しつつある「トリキバーガー」。味よし、値段もよし! なのに盛大に失敗した”本質的な理由”

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「あの鳥貴族のチキンバーガー!」が裏目に出たか 

トリキバーガーが思うような展開ができていないのは何故か。筆者が思うに「鳥貴族ブランド」を打ち出し過ぎたことが裏目に出てしまったのではないだろうか。 

ご存じの通り、鳥貴族は夜にお酒と焼鳥を楽しむ居酒屋だ。対してトリキバーガーは1日を通して利用できるファストフードの食事業態であり、利用シーンがまったく異なる。 

しかし“トリキ”バーガーという名前からしてブランディングでは鳥貴族を全面に打ち出している。オープン当初あった「焼鳥バーガー」(現在はない)や、「つくねチーズバーガー」など焼鳥を想起させるメニューも多く、鳥貴族のおなじみマスコットキャラ「トリッキー」も店内の至る所に顔をのぞかせている。赤と黄色のカラーリングも鳥貴族そのものだ。 

「あの鳥貴族が始めたチキンバーガー」という触れ込みが先行し、多くのお客は鳥貴族ブランドのイメージで来店してしまったのではないだろうか。 

日常で使うファストフード業態として開発したものの、お客は「鳥貴族が始めたチキンバーガー」という物珍しさを楽しむイベント感覚で来店してしまう。イベントは一度体験したら満足なので、リピートにつながらない。 

実際にオープン当初、トリキバーガーを「お酒に合う!」と紹介しているメディアや個人ブログ、SNSの投稿を少なからず見かけた。 

しかし、トリキバーガーでは酒類を提供していない。テイクアウトして自前で酒を用意し、つまみとして楽しむのもアリといえばアリだが、あまり本筋ではない。紹介した側は、居酒屋である鳥貴族のイメージが強く刷り込まれてしまい、そのような感想が出てきてしまったのではないだろうか。ここに大きなブランディングミスがあった。 

その真逆で成功したのがスシロー(FOOD & LIFE INNOVATIONS)が展開する、すし居酒屋「鮨 酒 肴 杉玉」だ。

スシロー系の大衆寿司居酒屋「杉玉」。あえてスシローとの関係性を伏せた戦略が当たり、順調に店舗数を増やしている(撮影:大澤誠)
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