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「マールアラーゴ合意」への警戒を解くのはまだ早い。トランプ関税の軌道修正に市場は安堵も、アメリカは為替を交渉の武器とすることを諦めず

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トランプ関税で世界経済が悪影響を受けるのは間違いないが(その意味では自己破壊的な政策である)、どの程度の悪影響を受けるかはディールの帰趨による。

トランプ関税の経済への悪影響はまだ腰だめの試算

IMF(国際通貨基金)は先頃の春季総会を前に「世界経済見通し」を発表したが、そこでの試算は腰だめの数字とみたほうがよい。もし、各国とのディールが物別れに終わり高関税が長期化するようであれば、世界経済の減速幅はもっと大きくなるだろう。

国別でみれば、やはりアメリカの減速幅が大きい。関税が物価に転嫁されれば、消費は減速する。消費が減速すれば企業もコスト高を吸収できず減益になる。当然である。

日本も悪影響が大きい。これは自動車などの輸出減といった直接的な悪影響もさることながら、世界経済の減速に対する感応度が高いという日本経済の特徴の表れだろう。

例えば、2007年からのグローバル金融危機において日本の金融システムは主要国で最も健全だったのに、実体経済では日本の落ち込みが特に大きかったのは世界経済の減速への脆弱性の表れといえる。

この点、ユーロ圏は域内で経済がある程度完結していることもあってか、悪影響が相対的に小さい。中国が受ける悪影響も大きいがアメリカほどではない。トランプ関税の敗者がアメリカであることはここからも確認できる。

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