もちろん、親の期待がまったく不要だというわけではありません。「信じてもらえている」「期待されている」と感じられることは、子どもにとって大きな励みになります。ただし、それは「愛されている」「認められている」という土台があってこその話です。この土台がないまま、「もっと勉強して」「もっとしっかりして」と言葉を重ねると、それは単なる「重荷」となり、反発、反抗、ストレスを生み出すだけです。
過剰な期待が「重荷」になることもある
実際、「親の期待が過剰であると感じる子どもほど、心理的ストレスを感じやすく、自己肯定感が低下する傾向にある」ということは、教育心理学の分野でも広く研究されており、一般的に知られている事実として認識されています。ですから期待は、育てる「光」にもなれば、押し潰す「重石」にもなるのです。
ある親御さんが、「うちの子は何をやっても目立たない。もっとリーダーシップをとってほしい」と悩んでいました。しかし、その子はクラスでトラブルが起きると、誰よりも先に静かに友達の間に入って、場を落ち着かせるタイプの子でした。
「目立たない」ではなく、「調整型リーダー」としての資質があったのです。
親が視点を変え、「この子はどんな花を咲かせる子かな?」と見つめたとき、その子に沿った対応をするようになって、子どもはぐんぐん成長し始めました。
別のケースでは、中学生の男の子が「全くやる気がない」と母親に言われていました。でも、よく話を聞いてみると、彼は「どうせまた失敗する」と思い込んでいたのです。小学校時代から「もっとやれ」「もっとできるはず」と期待され続け、自己効力感を失っていました。
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