ユーザーはプロダクトの何に熱狂しているのか!? アーティストのマインドセットから学ぶ

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この関係性に適合しない限り、作品はアートとして成立しません。なかでも重要なのは、アーティスト本人の「熱狂」です。「人を熱狂させようという意図のないアートは、そもそもアートたりえず、熱狂なきアートは人を欺く行為である」とカンディンスキーは語っています。

何はさておき、まずはアーティストが人々を熱狂させようと意図して、あるいは原体験をもとにして、自身の内から湧き上がる熱狂を表現して作品を創る。その保存された熱量に鑑賞者が反応し熱狂することにつながるのです。だからこそ、鑑賞者の期待に応えるために絵を描くのではなく、まず自身の「熱狂」に忠実になる必要があります。

ユーザーの期待より創り手の熱狂を

このアートマインドセットは、今のビジネスにこそ求められているのです。

日本企業が長年培ってきた競争優位性が急速に失われ、品質や機能だけで戦うことがもはや不可能な今、ユーザーの期待に応えるためにもの作りをするのではなく、まず創り手本人が熱狂するプロダクトを創り続ける。その保存された熱量にユーザーが熱狂するのです。

私は、アートマインドセットをビジネスに転写し、最終的には熱狂的ビジネスモデルとして体系化しました。これについては後の連載でお伝えします。

次回は、今回述べてきたアートマインドセットを用いて、クロード・モネというアーティストを取り上げ、彼の熱狂がどこにあるのか、それがなぜ鑑賞者を熱狂させるに至るのかを見ていき、その心的態度をビジネスにいかに生かせるのかについても考えていきます。

川上 昌直 経営学者

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かわかみ まさなお / Masanao Kawakami

博士(経営学)。兵庫県立大学教授としてビジネスモデルを研究・教育するかたわら、ロンドン大学SOASでは特別招聘教授として、ビジネスパーソンに向けた「アートによる創造性開発」のコースディレクターを務める。利益イノベーションを主軸にしながらも革新的な価値を世の中に提案するため、アーティストのマインドセットを取り入れた新たなビジネスモデル概念の確立を試みている。諸橋近代美術館理事、ならびにチェルシーアーツクラブ(ロンドン)メンバーとして、日英でアーティストやアート関係者とのプロジェクトに関与しながら研鑽を積んでいる。主な著書に『ビジネスモデルのグランドデザイン』『収益多様化の戦略』などがある。

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