ユーザーはプロダクトの何に熱狂しているのか!? アーティストのマインドセットから学ぶ

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意味的価値の創造は、これからの企業が持続的に成長し、競争優位を保つには不可欠な要素です。私は、名を残したアーティストのアートに向かう姿勢や態度こそが、企業や起業家がプロダクトやビジネスモデルそのものに向かう姿勢や態度に大いなるヒントをもたらすと考えました。

アートなのか、アートじゃないのか。それを分けるのが「熱狂」

アーティストが生む作品が世紀を超えて愛され続け、人々の心を揺さぶり続け、数百年、いや、それ以上を経てもいまだ支持されるのはなぜでしょうか。

これについて卓見を述べているのが、抽象絵画の父と呼ばれるワシリー・カンディンスキーの一連の著作と論文です。

カンディンスキー《印象3(コンサート)》(1911年) (所蔵:レンバッハハウス美術館、画像:Wikipedia[Public Domain])

カンディンスキーは、アーティストである前、大学で教授のいすを約束された学者でもありました。モスクワ大学で政治経済を学び、ドルパド大学に招聘されましたが、その安定した仕事を捨てて、30歳でアーティストへと転身します。その後、自身の芸術的手法を確立し、現代アートでも広く展開される抽象絵画という分野を生み出しました。

彼の論文「純粋芸術としての絵画」(1913年)では、アーティストのマインドセットを言語化した内容が語られています。要約するとこうなります。

「作品としてのアートは、アーティストの内面的要素と外的要素から成り立っている。前者はアーティストの魂の感動であり、それが鑑賞者の魂に伝わって感動を生み出す。アーティストの魂は、その感覚によって表現され作品となる。そして、鑑賞者の感覚を通じて、それがまた彼らの感動となる」

このアートの本質を、たった一文で示した箇所があります。

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